2001 Fiscal Year Annual Research Report
印環細胞がん形成におけるホスファチジルイノシトール3キナーゼの役割
Project/Area Number |
13216019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福井 泰久 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00181248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊原 さよ子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (80292788)
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Keywords | ホスファリジルイノシトール / スキルスがん / cAMP / 脱分化 / アクチン / ラッフリング / Rac / PIP3 |
Research Abstract |
印環細胞がんは悪性スキルス胃がんの一種である。われわれは、活性型ホスファチジルイノシトール3キナーゼを発現させることにより分化型腺がんから印環細胞がん様に細胞を変化させる系を開発し、この系を用いて、印環細胞がん発生を抑制する薬剤をスクリーニングした。あらかじめ既知の薬剤について検討した結果、P38MAPキナーゼの阻害剤SB203580のほか、cAMPレベルを上昇させる薬剤methoctramineに効果が見られた。実際にdbcAMPを作用させると、部分的ながら、印環細胞がんの発生を抑制する効果が見られた。実際にこの系を用いてスクリーニングをした結果、いくつかの薬剤が選抜された。そのうち、数種はin vitroの印環細胞形成系のみならず、天然から由来した印環細胞がん株の形態までも正常化させた。これらの薬剤について、cAMP形についての効果を検討した結果、19種の薬剤中8種においてcAMPシグナル伝達系の最も下流に位置するCREBのリン酸化が亢進していることが判明した。CREBリン酸化の上昇と印環細胞がん発生の抑制についての因果関係はさらに検討の余地があるが、本研究から印環細胞がんの治療薬としてcAMPシグナル伝達系を活性化する薬剤が有効である可能性が示された。そのほかの選抜された薬剤の作用機序は検討中である。 一方、ホスファチジルイノシトール3キナーゼの役割を検討する目的で、その反応産物PIP3結合タンパク質Swap-70に関しても検討した。その結果、Swap-70はPIP3依存的なRacグアニンヌクレオチド交換因子であることが判明した。Swap-70のノックアウト細胞の性質を検討したことろ、Racの活性化によって引き起こされるとされるメンブレンラッフリングが低下していることが判明し、Swap-70の細胞中での役割が証明された。
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[Publications] Kobayashi, S., et al.: "Membrane recruitment of DOCK180 by binding to PtdIns(3,4,5)P3"Biochem J.. 354. 73-78 (2001)
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[Publications] Higuchi, M., et al.: "Akt mediates Rac/Cdc42-regulated cell motility in growth factor-stimulated cells and knockout cells"Curr Biol. 11. 1958-1962 (2001)
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[Publications] Harada, Y., et al.: "Novel role of phosphatidylinositol 3-kinase in CD28-mediated costimulation"J. Biol. Chem.. 276. 9003-9008 (2001)
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[Publications] Shinohara, M., et al.: "SWAP-70 is a guanine nucleotide exchange factor that mediates signaling of membrane ruffling"Nature. (in press).