2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13216022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千田 和広 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00192188)
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Keywords | 過形成 / 上皮 / 発がん / プロモーション / PKC / ノックアウトマウス / TPA / Prkca |
Research Abstract |
PKCαとζの酵素活性に不可欠なATP結合部位をコードするエクソンの前後にloxP配列を挿入したfloxedマウスを作出した。CAG-Creトランスジェニックマウスとの掛け合せを経て、遺伝子破壊マウスを得た。両遺伝子破壊マウスのホモとヘテロ型は正常に発生し、行動や繁殖能に野生型との差はみられなかった。我々の研究成果も含めて、PKCに属す10分子種の中でλ分子種の遺伝子破壊マウスのみが胎生致死となることが明らかになった。 発がんプロモーターTPAをマウス背部皮膚に投与し、組織標本を作製して過形成誘導を調べた。PKCα遺伝子破壊マウスのヘテロ型は野生型と同様に表皮の厚さが二日目に最大3倍となり、その後七日目までに元のレベルに戻った。しかしホモ型マウスでの表皮層は2倍に達しなかった。DNA合成は表皮基底層に限定されていた。TPAによる表皮過形成の誘導が著しく低下したことは、PKCαが上皮組織の基底層で高い発現をしていることと関係しているものと考えられる。また、発がん実験は途中段階であるが、PKCα遺伝子破壊マウスでの腫瘍発生は低いものと予想している。 仔マウス皮膚より表皮細胞を分離し、コラーゲンゲル上での三次元培養法を検討した。ゲル表面の空気暴露により角化を誘導でき、二から五層の表皮様構造を維持して、3週間以上培養することができた。多種類の遺伝子組換えマウスを利用できる培養表皮過形成モデル系と位置づけている。 肺上皮細胞の培養法を検討した。ラット胎児肺より上皮細胞を培養基質への接着による時間差を利用して分離し、多孔膜上で培養した。この細胞は形態と増殖能から2型肺胞上皮細胞とみられる。経上皮電気抵抗が培養日数に応じて高まり、機能的なタイトジャンクションを形成した。2型肺胞上皮細胞の増殖維持が上皮細胞間の接着に重要と考えられる。しかしマウスでは2型上皮細胞が1型に分化しやすく、培養条件の検討が今後の課題と考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Chida, K.: "Disruption of PKCη results in impairement of wound healing and enhancement of tumor formation in mouse skin carcinogenesis"Cancer Res.. (in press).
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[Publications] Hirai, T.: "Protein kinase Cζ(PKCζ):activation mechanisms and cellular functions"J.Biochem.. 133. 1-7 (2003)
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[Publications] Tobe, K.: "Cytoskeletal reorganization induced by insulin : involvement of Grb2/Ash, Ras and phosphatidylinositol 3-kinase signalling"Genes Cells. 8. 29-40 (2003)
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[Publications] Kashiwagi, M.: "Protein Kinase Cη(PKCη):its involvement in keratinocyte differentiation"J.Biochem.. 132. 853-857 (2002)
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[Publications] Hara, T.: "Genomic organization and chromosomal localization of the mouse protein kinase Cα gene"Gene. 291. 11-16 (2002)