2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13216102
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
小林 敏之 財団法人癌研究会, 癌研究所・実験病理部, 研究員 (40260070)
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Keywords | Tsc1 / Tsc2 / hamartin / 結節性硬化症 |
Research Abstract |
本研究では、結節性硬化症の原因遺伝子であり、腫瘍抑制遺伝子であるTsc1の産物(hamartin)が果たす生理機能を明らかにすることを目的とし、酵母two-hybrid法と免役共沈降法の二つの方法を用いて、Tsc1結合蛋白の検索を行った。まず進化的に保存性の高いアミノ末端領域をbaitとし、酵母2-ハイブリッド法によりマウス胎仔由来のライブラリーから一つの結合蛋白の候補cDNAを単離した。同定したクローンはEST解析により既に明らかにされているcDNAクローンに一致していた。その予想される遺伝子産物には明らかな既知の機能ドメインは見出されなかったものの、一部にコイルド・コイルを形成する可能性のある領域を含んでいた。培養細胞中でタグを付加した強制発現を行った後、免疫沈降法を用いて、単離したクローンの全長の産物と全長のTsc1産物が結合することを確認した。同時に発現させた細胞の免疫染色の結果から、両産物が核の辺縁を中心とし、細胞質内に顆粒状に一致して存在する様子が確認された。相同性検索の結果、同定した遺伝子は、少なくとも3種類の異なる遺伝子を含むファミリーを形成していることが明らかとなった。一方、抗Tsc1抗体を利用し、ラット腎臓の組織抽出液を用いた免疫沈降法を行い、分子量約30kDaの複数の結合蛋白の候補を見出すこともできた。これらの両解析により得られた結合蛋白の候補は分子量が類似しており、同一のものである可能性がある。現在その可能性を追求している。またTsc1-ECFP(EYFP)融合蛋白を用い、生きた細胞内におけるTsc1産物の挙動を解析した。Tsc1産物が細胞質に顆粒状に分布しており、Tsc2産物と挙動を共にする様子が観察された。本研究で得られた知見や実験系はTsc1産物の機能解明に有用なものであり、今後さらに解析を進めたいと考えている。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kobayashi, T. et al.: "A germ-line Tsc1 mutation causes tumor development and embryonic lethality that are similar, but not identical to, those caused by Tsc2 mutation in mice"Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 98(15). 8762-8767 (2001)
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[Publications] Hino, O. et al.: "Multistep renal carcinogenesis as gene expression disease in tumor suppressor TSC2 gene mutant model-genotype, phenotype and environment"Mutation Res.. 477. 155-164 (2001)
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[Publications] Hino, O., et al.: "Prevention of hereditary carcinogenesis"Proc. Jpn. Acad.. 78,Ser.B(2). 30-32 (2002)