2001 Fiscal Year Annual Research Report
ノックアウトマウスを用いたRasファミリータンパク質の機能解析
Project/Area Number |
13216116
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
服部 成介 国立精神・神経センター, 神経研究所・診断研究部, 室長 (50143508)
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Keywords | Ras / Rap1 / Chat / MAPキナーゼ / ファイブロネクチン / 細胞接着 |
Research Abstract |
SH2領域およびp130Cas結合領域をもつアダプター因子Chatの機能を解析した結果、Chatの過剰発現によりRap1が活性化されることが判明した。ChatによるRap1活性化は、CasおよびCrkのドミナントネガティブ変異体で抑制されることから、Chatによる直接の活性化ではなくCas-Crk-C3G経路を介するものであることが示唆された。Chatを過剰に発現している細胞ではRap1活性化にともなってファイブロネクチンに対する細胞接着性が顕著に上昇したが、この接着性の上昇も同様にCas、CrkおよびRap1の変異体により抑制された。これらの結果からChatによりRap1を介した細胞接着制御の新たな機構が示された。 血球系細胞ではChatのアイソフォームであるChat-Hが発現しているが、その機能解析のためヒトT細胞由来Jurkat細胞でChat-Hを過剰に発現する細胞株を樹立してその効果を検討した。その結果、Chat-H発現株ではT細胞受容体刺激にともなうIL-2産生が数倍に亢進し、逆にChatの変異体発現によりIL-2産生は抑制された。これらの結果はChat-HがIL-2産生にいたるシグナル伝達系を制御していることを示している。 海馬神経細胞の初代培養細胞を用いてMAPキナーゼ活性化機構を研究した結果、海馬神経細胞においてMAPキナーゼを活性化する種々のシグナルはいずれもRasを経由して伝達されること、またRap1はMAPキナーゼ活性化には寄与しないことを示した。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Iida, N., Namikawa, K., Kiyama, H., Ueno, H., Nakamura, S., Hattori S.: "Requirement of Ras for the activation of mitogen-activated protein kinase by calcium influx, cAMP, and neurotrophin in hippocampal neurons"J. Neurosci.. 21巻17号. 6459-6466 (2001)