2002 Fiscal Year Annual Research Report
ノックアウトマウスを用いたRasファミリータンパク質の機能解析
Project/Area Number |
13216116
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
服部 成介 東京大学, 医科学研究所, 客員教授 (50143508)
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Keywords | Ras / Gap1m / ノックアウトマウス / GTPase |
Research Abstract |
RasファミリーGTPaseおよびその調節因子は、細胞増殖や細胞接着を制御する因子と考えられ、細胞のがん化・がん細胞の転移等の機構を明らかにする上で重要な研究対象である。Rasの抑制性因子Gap1mは、同じ機能を有するNF1遺伝子産物とがん抑制遺伝子である可能性があり、そのノックアウトマウス作成のためのES細胞を作成した。またRasファミリーに属しカルモジュリン結合能を有する因子Rinのノックウトマウスを作成したが、現在までに著しい異常は認められていない。 細胞接着制御にRasファミリー因子Rap1の関与が示されているが、Cas結合性アダプター因子ChatはCrk-C3G経路を介してRap1を活性化し、インテグリンの活性化と細胞接着性の増強をもたらすことを見いだした。またJurkatT細胞において過剰発現をした場合、JNKの活性化を介してIL-2産生に必須の機を果たすことを見いだした。 Rasをはじめとする低分子量GTP結合タンパク質はその標的因子として、セリン・スレオニンキナーゼを有するものが数多く知られており、キナーゼ基質の同定はRasファミリー因子群の機能を明らかにする上で重要なステップと考えられる。近年、2次元ゲル電気泳動法と質量分析器を用いた微量タンパク質の同定法は大きな技術的進展が見られており、こうした技術を応用し、キナーゼ基質の網羅的な解析技術の開発を試みた。本研究では、リン酸化タンパク質を金属キレートカラムにより濃縮・精製し、その後2次元ゲル電気泳動により分析する実験系を確立した。この技術はさまざまなキナーゼに応用可能であり、新規キナーゼ基質の同定に極めて有用な手段と考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Sakakibara A, Hattori S, Nakamura S, Katagiri T.: "A novel hematopoietic adaptor protein, Chat-H, positively regulates T cell receptor-mediated interleukin-2 production by Jurkat cells"J.Biol.Chem.. 278. 6012-6017 (2003)
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[Publications] Sakakibara A, Ohba Y, Kurokawa K, Matsuda M, Hattori S.: "Novel function of Chat in controlling cell adhesion via Cas-Crk-C3G-pathway-mediated Rap1 activation"J.Cell Sci.. 115. 4915-4924 (2002)