2001 Fiscal Year Annual Research Report
発がんにおけるDNA傷害と細胞周期チェックポイントの分子機構に関する研究
Project/Area Number |
13216119
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Research Institution | National Institute for Longevity Sciences,NCGG |
Principal Investigator |
本山 昇 国立療養所中部病院(長寿医療研究センター), 老年病研究部, 室長 (50277282)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 恭治 国立療養所中部病院(長寿医療研究センター), 老年病研究部, 部長 (00222878)
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Keywords | 細胞周期チェックポイント / 放射線 / がん抑制遺伝子 / p53 / 転写 / Chk2 / Chk1 / アポトーシス |
Research Abstract |
1.Chk1ヘテロマウスにおける発がんの検討 Chk1欠損と発がんの関連を明らかにすることを目的として、4GyのX線照射を行い生存率及び発がんについて検討した結果、生存率は野生型マウスと同様で、発がん率にも変化が認められなかった。また、Chk1^<+/->/p53^<-/->マウスを作成し、生存率及び発がんについても検討したが、p53-/-マウスと同様の生存率・発がん率を示した。以上の結果から、Chk1については、LOH、haploinsufficiency等による発がんへの影響はほとんど認められないことを明らかにした。 2.Chk2ノックアウトマウスと発がんの検討 (1)G1/S及びG2/Mチェックポイント Chk2はG1/Sチェックポイントの維持に必須であることを明らかにした。一方、G1/Sチェックポイントの初期の開始及びG2/Mチェックポイントには関与していないことを明らかにした。 (2)Chk2ノックアウトマウスの解析 Chk2ノックアウトマウスはp53ノックアウトマウス同様に放射線誘導アポトーシスに抵抗性を示し、個体レベルでも耐性を示すことを明らかにした。また、Chk2はp53の安定化に関与していることが明らかになったが、主にはATM/ATRに依存するChk2を介さない経路によってp53は安定化することを示した。興味深いことに、Chk2^<-/->細胞においてp53は安定化するが、p53標的遺伝子であるp21やNoxaなどの転写誘導が起こらないことを明らかにした。しかしながら、p53の安定化及び活性化に重要とされるp53のSer15やSer20のリン酸化は正常に起こっていた。これらの結果から、私たちはChk2がこれまで同定されていないp53のリン酸化もしくは他の分子を介してp53の転写活性を制御している可能性を提唱した。
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Research Products
(1 results)