2001 Fiscal Year Annual Research Report
tRNA-グアニントランスグリコシラーゼのがん診断への応用
Project/Area Number |
13218013
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石渡 俊二 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (20301054)
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Keywords | tRNA-グアニントランスグリコシラーゼ / がん / ユビチキン / 制がん / 血清 / マイクロアレイ |
Research Abstract |
tRNA-グアニントランスグリコシラーゼ(TGT)は、修飾核酸であるキューオシンの合成酵素である。TGTはヘテロダイマーとして存在していると考えられており、TGTの60kDaのサブユニット(TGT60kDa)がクローニングされている。また、最近TGT60kDaは脱ユビキチン化活性を有することが報告された。一方、我々はTGT60kDaが白血病、大腸がん、乳がんなどにおいて高度に発現していることを初めて明らかにした。しかし、TGTのがん治療への応用性についての報告は極めて乏しい。そこで、TGT60kDaのがんの個性診断への応用性を検討した。 TGT60kDaタンパクを高発現させた細胞株のマイトマイシンに対する感受性は、対照の低発現株と比較して低下していた。検討した他の制がん剤ではこのような効果は認められなかったことから、マイトマイシンに特異的な細胞傷害機構にTGT60kDaが関与していることが考えられる。また、TGT60kDaタンパク高発現細胞株と低発現細胞株のmRNAブロファイルを比較した結果、高発現株ではCDK2、acyl-Coenzyme A oxidaseなどのmRNA量の増加とubiquitin-conjugating enzymeであるHBUCE1などのmRNA量の減少が認められた。TGT60kDaが高発現することにより、細胞分裂の刺激とユビキチン化タンパクの減少がともに誘導されている可能性が考えられた。さらに、TGT60kDaの血清中腫瘍マーカーとしての応用性を検討した結果、血清中TGT60kDa量は担がん日数の経過によって変化しなかった。TGT60kDaは血清マーカーとしてより、組織診断などのがん細胞の個性診断に応用すべきことが明らかになった。
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