2002 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子を長期間高レベルで発現する新規レトロウイルスベクターとその産生系
Project/Area Number |
13218022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊庭 英夫 東京大学, 医科学研究所, 教授 (60111449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 太二 東京大学, 医科学研究所, 助手 (60343109)
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Keywords | 遺伝子治療 / 再生医療 / レトロウイルスベクター / 癌抑制遺伝子 / Brm遺伝子 / クロマチン構造変換因子 / ジーンサイレンシング / ヒストンアセチル化 |
Research Abstract |
レトロウイルスベクターは、各種幹細胞や個体に導入した場合、長期間の発現が維持できずに著しく低下する例があり遺伝子治療に使用する際に克服せねばならない大きな問題となっている。本研究ではこのようなgene silencingの分子機構の解析を広範に進めてこれに関わる宿主因子を同定しその機能を明らかにすることから開始し、クロマチン構造変換因子SWI/SNF複合体の触媒サブユニットの一つBrmがレトロウイルス発現維持のための重要な宿主因子であることを突き止めた。さらにその成果に基づいて個体や培養幹細胞において長期間安定して高レベルで発現できる新規レトロウイルスベクターを設計・作製をめざしそれに成功した。その具体的成果は以下のように要約できる。 1)レトロウイルスはBrmの発現を欠失する細胞株へも侵入し、逆転写、integration、及び遺伝子発現を正常に開始することができる。しかしその遺伝子発現は不連続でかつstochasticな激しいgene silencingを受ける。 2)このgene silencingはBrm遺伝子の導入により効率よく解除され、またHDAC阻害剤の添加によっても部分的に解除される。しかしDNAメチル化の阻害剤によっては一切解除されない。 3)プロウイルスの3'-LTR近傍では、Brm遺伝子の導入に伴い、ヒストンH4の特定のリジン残基(リジン5及びリジン8)のアセチル化が上昇し、同時にYY1、HDAC1、HDAC2、ヒストンH1の動員の減少が見られる。 4)このgene silencingは、YY1結合配列に変異を入れたウイルスベクターでは、解除され、実際にBRG1遺伝子の発現が見られないヒトEC細胞において、発現持続の能力が極めて優秀なベクターの作出に成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Koike, C.et al.: "Introduction of wild-type patched gene suppresses the oncogenic potential of human squamous cell"Oncogene. 21. 2670-2678 (2002)
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[Publications] Mizutani, T.et al.: "Maintenance of integrated proviral gene expression requires Brm, a catalytic subunit of SWI/SNF complex"J.Biol.Chem.. 277. 15859-15854 (2002)
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[Publications] Shimizu, Y.et al.: "Kinetics of v-src-induced epithelial -mesenchymal transition in developing glandular stomach"Oncogene. (in press). (2003)
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[Publications] Kameda, T.et al.: "Analysis of the cellular heterogeneity in the basal layer of mouse ear epidermis : an approach from partical decomposition in vitro and retroviral cell marking in vivo"Exp Cell.Res.. (in press). (2003)
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[Publications] Yamamichi-Nishina, M.et al.: "SW1 3 cells can transition between two distinct subtypes by switching expression of BRG1 and Brm genes at the post-transcriptional level"J.Biol.Chem.. (in press). (2003)
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[Publications] Iba, H.et al.: "SWI/SNF chromatin remodeling complex and retroviral gene silencing"Reviews in Medical Virology. (in press). (2003)