2001 Fiscal Year Annual Research Report
リボザイム技術による新規癌標的分子の探索および癌分子標的治療への応用
Project/Area Number |
13218025
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川崎 広明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (60332623)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 和尚 理化学研究所, 筑波研究所, 副主任研究員 (80182707)
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Keywords | 癌 / リボザイム / ポストゲノム / p16 / 癌標的分子 / RNAヘリカーゼ / リボザイムライブラリー / 機能遺伝子探索 |
Research Abstract |
リボザイムは、特異的にRNAを切断することが可能なので癌など疾患の原因遺伝子を標的とした遺伝子治療剤としての可能性が期待されている。しかし細胞内で効率に機能するリボザイムを構築するのは、なかなか容易なことではない。特に標的mRNAがリボザイムのアクセスしにくい複雑な高次構造(固いステム構造など)を形成している場合には、ほとんど抑制効果が期待できない。そこで本研究では、標的RNAの高次構造を巻き戻す活性を有するRNAヘリカーゼとリボザイムとをハイブリッド化することに成功した。次にこのリボザイムを用いて有用な遺伝子を機能の面から探索できる方法(ジーンディスカバリーシステム)を開発することを検討した。具体的には、リボザイムの標的認識部位をランダマイズしたリボザイムライブラリーを細胞内で機能させ、ある着目した細胞の表現型(癌化やアポトーシスなど)を示した細胞を回収して、その細胞で発現しているリポザイムの標的認識配列を解析すると、その着目した表現型とリボザイムに切断された遺伝子との関係を知ることが可能であると考えられる。そこでこのライブラリーをプラスミドで大腸癌細胞(SW48)に導入して、CDK阻害因子p16の発現を指標にスクリーニングすることを試みた。一般的に野生型のSW48ではp16の発現は検出されないが、ライブラリーを導入したことによりp16を高発現している細胞株を分離することに成功した。これらの細胞中に存在するリボザイムの標的認識部位の配列を解析したところ、遺伝子の発現抑制に関わるHDAC1やMeCP2などが同定された。また5つの新規遺伝子の同定にも成功した。この同定された遺伝子を標的としたリポザイムをそれぞれ再び細胞に導入して、実際に標的遺伝子の発現を抑制しているかを検討したところ、mRNAとタンパク質レベルで標的遺伝子の発現抑制が確認された。またそれぞれの細胞株でp16の高発現も確認されたことから、これらの遺伝子は、確かにp16の発現抑制に関与していることが確認できた。すなわちこのジーンデイスカバリーシステムが、実際に機能していることが明らかとなった。現在、このシステムで同定された遺伝子が、細胞の癌化と関連性があるかを検討している。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Hiroaki, Kawasaki: "Identification of genes that function in the TNF-a-mediated pathway to apoptosis by analysis of randomized hybrid-ribozyme libraries"Nature Biotechnol.. (In press). (2002)
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[Publications] Hiroaki, Kawasaki: "Intracelularly active ribozymes in the post-genome era"Phosphorus Sulfur Silicon. (In press). (2002)
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[Publications] Hideo, Akashi: "Enhancement in the cleavage activity of a hammerhead ribozyme by cationic comb-type polymers and an RNA helicase"J. Biochem. (Tokyo). (In press). (2002)
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[Publications] Hiroaki, Kawasaki: "Development of a novel functional gene discovery system by hybrid-ribozyme libraries in the post genome era"Genoine Informatics. 12. 406-408 (2001)
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[Publications] Hiroaki, Kawasaki: "Discovery of functional genes in the post-genome era by novel RNA-Protein hybrid ribozymes"Nucleic Acids Res. Suppl.. 1. 133-134 (2001)
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[Publications] Eigo, Suyama: "Characterization of pro-apoptotic gene Bak using hammerhead ribozymes"Nucleic Acids Res. Suppl.. 1. 207-208 (2001)
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[Publications] Hiroaki, Kawasaki: "Tumor suppressing viruses, genes, and drugs"Academic Press. 28 (2001)