2003 Fiscal Year Annual Research Report
MAPキナーゼカスケードを構成するシグナル分子を標的とした細胞増殖阻害物質の探索
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13218101
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河野 通明 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00027335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 功 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20038607)
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Keywords | 細胞がん化 / がん化学療法 / ERK-MAPキナーゼ / MEK阻害剤 / アポトーシス / チューブリン阻害剤 / チオフラボン誘導体 / 併用療法 |
Research Abstract |
1.ERK-MAPキナーゼ系が恒常的に活性化されているヒト大腸癌由来HT29細胞株をヌードマウスに移植したXenograft系において、MEK阻害剤とチューブリン重合阻害剤を併用投与した後、腫瘍体積及び腫瘍重量の変動を経時的に計測した結果、上記薬剤処理が腫瘍の増殖を完全に抑制する事を見出した。この時、神経毒性の徴候は認められず、体重にも顕著な変動が認められなかった。また、上記薬剤併用処理した腫瘍組織においては、極めて顕著な組織脱落像が認められることを、HE染色法によって確認した。これらの結果は、MEK阻害剤とチューブリン重合阻害剤の併用が、動物個体内で成長した腫瘍に対して、実際に有効な制癌効果を発揮する可能性を強く示唆するものである。 2.MEK阻害剤とチューブリン重合阻害剤との併用によるアポトーシス増強に際しては、TNFαおよびTRAIL受容体(DR6)の発現上昇を介してこれらの経路が活性化され、これがc-Jun N-terminal Kinase(JNK)の持続的活性化へと連動し、これら一連の反応が重要な役割を果たしている事を見出した。 3.PD98059の基本骨格を基に様々な誘導体を合成し、それらのMEK阻害活性について検討を進めた結果、PD98059自体の側鎖の種類およびその配置の変換はMEK阻害活性を低下、あるいは消失させたが、一方、それをチオフラボン化する事で、MEK阻害活性が数倍上昇する事を見出した。なお、種々の薬用植物より単離したポリフェノール類を中心に合計133化合物についてERK-MAPキナーゼ系を選択的に遮断するかどうか検討じたが、現時点では期待するような活性を有する化合物の発見に至っていない。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Tanimura, S.: "Specific blockade of the ERK pathway inhibits the invasiveness of tumor cells : down-regulation of matrix metalloproteinase-3/-9/-14 and CD44."Biochem.Biophys.Res.Commun.. 304巻. 801-806 (2003)
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[Publications] Kohno, M.: "Pharmacological inhibitors of the ERK signaling pathway : application as anticancer drugs."Prog.Cell Cycle Res.. 5巻. 219-224 (2003)
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[Publications] Kataoka, T.: "Synthesis and structure-activity relationships of thioflavone derivatives as specific inhibitors of the ERK-MAP kinase signaling pathway"Bioorg.Med.Chem.. 15巻(in press). (2004)
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[Publications] 河野通明: "チューブリン阻害活性の検定"癌と化学療法. 31巻(印刷中). (2004)
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[Publications] 河野通明: "MAPキナーゼカスケードを標的とした治療"現代医療. 36巻(印刷中). (2004)