2001 Fiscal Year Annual Research Report
分子疫学的手法を用いた前立腺癌の発生リスクに関与する因子の同定とその臨床応用
Project/Area Number |
13220009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 修 京都大学, 医学研究科, 教授 (90260611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諸井 誠司 京都大学, 医学研究科, 助手 (50314191)
賀本 敏行 京都大学, 医学研究科, 講師 (00281098)
寺井 章人 京都大学, 医学研究科, 講師 (50243019)
中村 英二郎 京都大学, 医学研究科, 助手 (90293878)
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Keywords | 前立腺癌 / 遺伝子多型 / 感受性遺伝子 / E-カドヘリン / 前立腺肥大症 |
Research Abstract |
【背景】Eカドヘリンは細胞接着や上皮の分化また上皮細胞の極性維持等さまざまなところで重要な役割をはたす膜貫通糖蛋白である.Eカドヘリン発現低下によりおこる細胞接着の低下が上皮性腫瘍細胞が浸潤あるいは転移するのに重要なステップとされている.実際にEカドヘリンの発現低下が前立腺癌も含め低分化癌において認められる.一方でEカドヘリン遺伝子のプロモーター領域(翻訳領域から上流160塩基)にはC/Aの多型部位の存在が報告されており,この多型による転写活性の違いが報告されている.本研究は日本人における前立腺癌のリスクや臨床病期等とこの遺伝子多型との関係を明らかにしようとするものである. 【対象と方法】対象は組織学的に確認された前立腺癌236例と臨床的にBPHと診断(下部尿路症状を有し,直腸指診上BPHのもの)された210例ならびに137例の男性コントロール(65歳以上で,下部尿路症状がなく直腸指診上肥大症はなく,PSA値も基準値以内のもの).さらに193例の女性を一般的な日本人の多型分布とした.DNAは通常の方法で血液から抽出し,Eカドヘリンのプロモーター領域の1塩基多型(SNP)は制限酵素AflIIIで切断されるAアレルかHphIで切断されるCアレルで判定した.(PCRで増幅された452塩基のフラグメントが334と118に切断される.) 【結果】このケースコントロールスタディでは少なくとも1つのAアレルをもつ例が男性コントロールの24.8%に比べて前立腺癌患者では34.8%と多い傾向が見られた(crude p=0.047,age adjusted p=0.053).前立腺癌患者の中ではEカドヘリンのプロモーター領域の多型と臨床病期に有意な相関が認められた.(病期A+BとC+Dでp=0.0391)このことはこのAアレルが前立腺癌の進展のリスクを増加させる可能性が示唆された. 【考察】本研究ではEカドヘリンのプロモーター領域の多型においてAアレルが男性コントロールに比べて前立腺癌患者で有意であることが示唆された.またカドヘリンの機能変化が前立腺癌の臨床的進展に有意に関与する可能性が示唆された.異なった人種(もっと前立腺癌罹患頻度の高い人種)での同様のスタディが望まれる.
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Research Products
(1 results)