2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13224032
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
入來 篤史 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70184843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 美智雄 東京医科歯科大学, 歯学部, 教務臓員 (00057738)
横地 博子 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50345295)
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Keywords | 行動学 / 神経科学 / 情報工学 / 生理学 / 脳・神経 |
Research Abstract |
本研究では、大脳皮質を中心とする脳内の神経情報機構を神経科学的に研究することによって、人間の知性の基盤である法則や原理のような抽象的表象が生成される機構の解明を目指してきた。前年度までに、『直接的道具操作課題』をニホンザルに課し、その課題遂行前後の行動・運動の様式の変化を経時的に定量化することで、高次認知・運動機能の習得過程を行動学的に検討した。具体的には、手の届かないところに与えられた報酬を、熊手型の道具操作により直接得ることができるようニホンザルに訓練し、様々の道具を提示した時に発現される運動パタンを、動画像解析装置を用いて定量化した。今年度は、上記解析結果をもとにして、これらの機能に関わる脳内領域を、数理モデルを構築して予測し、その仮説を課題遂行中の脳内活動部位を機能画像的解析により特定・検証した。 (1)推論神経機構の数理モデル:基本的な道具操作の強化学習機構に加えて、道具の価値や意味を判断するシステムを付加することによって、上記推論行動の発現がスムーズに遂行するとの数理モデルを構築し、これまでに確認されている頭頂葉皮質に加えて、別のメカニズムが存在することを予測した。 (2)推論神経機構の脳機能画像:上記行動中のサルの脳機能画像(PET)解析によって、上記の数理モデルによって予測された高次認知機能の発現には、頭頂葉皮質と前頭前庭質との相互連関が必須であることが示唆された。 (3)共同注意と模倣学習:道具使用訓練を行っているサルでは、行為法則の意味の知覚に由来すると考えられる自発的な模倣行動が出現することが観察され、これらの行動の習得過程の定量的解析を行った。 今後は、これまでの成果を発展させて『抽象的・概念的道具操作課題』に本格的にとりくみ、「問題解決能力」「推論能力」「抽象概念」などの新規高次機能がニホンザルに強制発現する過程を観測することを目指す。
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Research Products
(10 results)
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[Publications] Obayashi S: "Fronto-parieto-cerebellar interaction associated with intermanual transfer of monkey tool-use learning."Neurosci.Lett.. 339(2). 123-126 (2003)
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[Publications] Shinagawa H: "Hemispheric dominance of tongue control depends on the chewing-side preference."J Dent Res.. 82(4). 278-283 (2003)
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[Publications] Hihara S: "Spontaneous vocal differentiation of coo-calls for tools and food in Japanese monkeys."Neurosci Res.. 45(4). 383-389 (2003)
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[Publications] Hihara S: "Rapid learning of sequential tool use by macaque monkeys."Physiol Behav.. 78(3). 427-434 (2003)
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[Publications] Yokochi H: "Inferior parietal somatosensory neurons coding face-hand coordination in Japanese macaques."Somatosens Mot Res.. 20(2). 115-125 (2003)
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[Publications] Kumashiro M: "Natural Imitation induced by joint attention in Japanese monkeys."Int J Psychophysiol.. 50(1-2). 81-99 (2003)
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[Publications] Obayashi S: "Monkey brain areas underlying remote-controlles operation."Europ J Neurosci.. (in press).
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[Publications] Maravita A: "Tools for the body (schema)."Tr Congn Sci. (in press).
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[Publications] Iriki A: "From Monkey Brain to Human Brain"MIT Press (in press).
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[Publications] Iriki A: "Spatial Perception, Spatial Cognition"Cambridge University Press.