2001 Fiscal Year Annual Research Report
ロバスト制御理論を応用した超高速トランスポート層通信プロトコルTCPの研究開発
Project/Area Number |
13224066
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大崎 博之 大阪大学, サイバーメディアセンター, 助手 (00294166)
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Keywords | 制御理論 / システム同定 / レート制御方式 / ブラックボックスモデル / ARX / 遅延に基づく輻輳制御 |
Research Abstract |
平成13年度では、制御理論を応用することにより、TCP Renoの問題点を解消する方式を設計した。主に、定常状態においてもウィンドウサイズが安定しないという、TCP Renoの輻輳回避フェーズの問題点を、制御理論を適用することにより解消した。具体的には、(1)システム同定手法を用いて、送信側ホストから見たネットワークの遅延特性を数学的にモデル化する、(2)得られた遅延特性のモデルに対して、古典制御理論を適用することにより、ネットワークの変動に対してもロバストとなる、レート制御方式を設計した。 まず、送信側ホストから見たネットワーク全体を、ブラックボックスとしてモデル化し、モデルのパラメータをシステム同定によって決定した。送信側ホストから送信するパケットの送信レートを入力と考え、送信側ホストに到着するACKパケットによって計測するパケット遅延時間を出力と考えた。送信側ホストにおいて、パケット送信間隔およびパケット遅延時間を測定し、オンライン同定法を用いて逐次的にモデルのパラメータを決定した。遅延特性のモデルとしては、ARX (Auto-Regressive eXogeneous)を用いた。次に、ここで得られた遅延特性のモデルに対して、古典制御理論を適用し、ネットワークの変動に対してロバストとなるレート制御方式を設計した。TCPのスループット向上のため、TCP Renoのようなパケット棄却に基づくアルゴリズムではなく、TCP Vegasのようなパケット遅延に基づくアルゴリズムを採用した。いくつかのシミュレーション実験により、設計したレート制御方式の有効性を定量的に評価した。
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[Publications] H.Ohsaki, M.Morita, M.Murata: "On modeling round-trip time dynamics of the Internet using system identification"Proceedings of the 16th International Conference on Information Networking (ICOIN-16). (Jan.). (2002)
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[Publications] 森田 光茂, 大崎 博之, 村田 正幸: "インターネットにおけるパケット伝送遅延時間の測定およびシステム同定によるモデル化に関する検討"電子情報通信学会技術研究報告(SSE2001-243). (Mar.). 55-62 (2001)
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[Publications] 森田 光茂, 大崎 博之, 村田 正幸: "システム同定を用いたインターネットのパケット伝送遅延時間のモデル化に関する検討"電子情報通信学会技術研究報告(NS2001-160). (Nov.). 41-46 (2001)
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[Publications] 森田 光茂, 大崎 博之, 村田 正幸: "インターネットにおけるパケット伝送遅延時間のモデルを用いたレート制御方式の設計に関する一検討"電子情報通信学会技術研究報告(NS2002-27). (Mar.). (2002)