2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13224098
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Research Institution | The Institute for Science of Labour |
Principal Investigator |
佐々木 司 財団法人 労働科学研究所, 研究部, 主任研究員 (10260134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤堀 正成 財団法人 労働科学研究所, 研究部, 研究員
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Keywords | 情報技術 / ワークスタイル / 労働負担 / 労働-生活バランス / 社会医学 |
Research Abstract |
本研究の目的は,最も労働のIT化が進行している情報通信労働者を対象として1ケ月間の生活時間調査を行ない,労働のIT化の実態の把握とそれが労働者の疲労の進展や回復に及ぼす影響を検討することであった.とりわけIT労働が適切な労働-生活バランスを維持できるかに焦点があてられた.本調査の対象者は情報通信関連企業に勤める6名の労働者であった(年齢の範囲33-54歳).本調査で用いた調査票は,睡眠,労働,社会的生活時間など15項目から構成され,調査対象者は1日24時間を15分ごとの区分されるマスに該当項目を埋めて行く方法で行った.また就寝前の「疲れの様子」を4段階(非常に疲れた-全く疲れなかった)で評定させた.業務内容を,職場内IT労働,職場外IT労働,職場内マニュアル労働,職場外IT労働に4区分して分析した.結果は6名の延べ調査日数は212日であり,休日と疲労感の記載がない日などを除いた116労働日が解析対象となった.調査期間中の職場内労働は,約9割がIT労働であり,マニュアル労働は1割を占めただけであった.疲労度が高い日は,労働時間が長く,職場内外でのマニュアル労働の混入と,職場外(生活場面)で行われるIT労働が強く影響していることが示唆された.マニュアル労働は職場内外で行われても日中に行われる傾向があり,職場外のIT労働は夕方から夜間に行われていた.これは労働者が自宅でIT機器を操作して残業を行っていると思われた.また疲労感の増大が生じると,労働者はいつもよりも早く就寝し,かつ長時間の睡眠をとることが明らかになった.また起床時刻が早い場合も疲労の増強因子となることがうかがえた.これらのことから,IT労働は生活場面の労働化を容易にすること,それによって生じた疲労の回復には十分な睡眠時間が必要であることが示唆された.
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