2001 Fiscal Year Annual Research Report
アルファウイルス脳炎の病態を制御する細胞性免疫因子の解明
Project/Area Number |
13226002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 享史 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 助手 (90261338)
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Keywords | ウイルス / 感染症 / 脳神経疾患 / 病理学 / 免疫学 |
Research Abstract |
神経強毒性シンドビスウイルス(NSV)は成マウスに致死性(死亡率70〜100%)の急性ウイルス性脳炎を引き起こすが、耐過マウスには海馬組織欠損を特徴とする水頭症様病変が頻繁に認められる。本研究はこの海馬組織傷害に関与する細胞性免疫因子の同定を目的として行われた。C57BL/6マウス(B6)および同系のCD4遺伝子欠損マウス(CD4 -/-)、CD8α遺伝子欠損マウス(CD8 -/-)、recombination activating gene 1遺伝子欠損マウス(RAG -/-)にNSVを脳内接種し、接種後24時間目に抗NSV免疫血清を腹腔内投与することによってマウスを人為的に耐過させた。B6マウスにはマクロファージ、リンパ球浸潤を伴った海馬組織欠損が認められ、同病変は脳内から感染性ウイルスが消失した後に形成された。CD4 -/-マウスの海馬組織欠損は軽度であったが、CD8 -/-マウスはB6マウスと同様の水頭症病変を形成した。一部のRAG -/-マウスにおいてもマクロファージ浸潤を伴った重度の水頭症病変が形成された。TUNEL法陽性海馬分子層ニューロン数は海馬組織中に浸潤するCD4陽性細胞数およびマクロファージ数と比例したが、CD8陽性細胞数との相関は認められなかった。なお、抗CD4および抗CD8モノクローナル抗体投与によって作成したCD4陽性細胞欠損マウス、CD8陽性細胞欠損マウスにおいても、遺伝子欠損マウスと同様の病理学的所見が認められた。以上の結果より、NSV感染耐過マウスの脳内において、CD4陽性細胞によって促進されるマクロファージのリクルートと活性化が海馬神経細胞死と組織障害に関与していることが示唆された。
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