2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13226022
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
橋本 真一 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (00313099)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉嶺 裕之 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (30304950)
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Keywords | 遺伝子発現 / SAGE / 抗原提示細胞 / HIV |
Research Abstract |
感染症においてAIDSは現在世界的に観て最も深刻な感染症の一つである。原因ウイルスであるHIV (human immunodeficiency virus)の感染に伴う病態、AIDSへの進行機序を解明し、新たなAIDS予防/治療法を確立することは全人類的な課題と言える。これまで、HIV感染に伴い出現する様々な病態、血液/免疫異常を説明すべくin vitroにてHIV感染させたヒトT,マクロファージにおけるサイトカイン産生異常、転写関連遺伝子の発現上昇など知られているが、未だに、HIV(R5,X4,R5X4)をin vitroで感染したマクロファージ、樹状細胞における包括的遺伝子発現検索の仕事がなされていない。本研究では、まずHIV(R5,X4,R5X4)をin vitroで感染させたマクロファージ、樹状細胞の刺激/未刺激状態でのserial analysis of gene expression (SAGE)法を用いた遺伝子発現プロファイルの決定とHIV感染に伴う異常発現遺伝子の同定を目的とする。我々は現在まで、血液細胞を中心に遺伝子を解析し、それぞれの血液細胞特異的な遺伝子の発現を検討している。今後、SAGE法にによるデータをもとにHIV感染病態モニタリング用DNAマイクロアレイチップを作成し、国際共同研究によりウガンダから提供されたHIV感染者(AIDS発症、未発症群)の血液細胞のtotal RNAを用いて遺伝子発現パターンを解析し、様々なHIV感染病態とリンクする遺伝子群を同定する。 今年度はマクロファージ指向性HIV(R5)をin vitroで樹状細胞に4日間処理し、LPSを加え24時間後の成熟樹状細胞おける遺伝子発現をSAGE法により行った。約9,000の転写産物について解析を行った結果、HIV未処理成熟樹状細胞の遺伝子発現パターンと非常に良く類似していた。このことは、HIV(R5)が樹状細胞への感染効率がきわめて低いため、遺伝子発現への影響が低かった為と考えられる。今後、さらに転写産物のシークエンスをし、解析精度を高めるとともに、マクロファージについても解析をすすめる。また、HIV感染細胞の包括的遺伝子解析結果と比較検討するため各種白血球(NK,ランゲルハンス様細胞の包括的遺伝子解析も同時に行った。
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