2001 Fiscal Year Annual Research Report
肺炎クラミジア感染宿主 細胞の網羅的遺伝子発現プロフィールの解析
Project/Area Number |
13226081
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
白井 睦訓 山口大学, 医学部, 教授 (20196596)
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Keywords | クラミジア / DNAマイクロアレー / 微生物 / ゲノム / 細菌 |
Research Abstract |
宿主細胞内の如何なる遺伝子の機能により菌が分裂増殖、長期定着するのかといった感染機構を解析するため、我々は肺炎クラミジア感染Hep-2細胞の遺伝子発現をDNAマイクロアレイを用いて解析した。感染後0〜72時間経過した細胞からRNAを調整し、3800種の遺伝子発現を非感染細胞と比較した結果、感染後徐々に発現の変化した遺伝子数が増加し、48時間をピークに72時間後では減少した。これは48時間まではクラミジアが宿主細胞内で盛んに増殖することと関連があると考えられた。発現の変化した遺伝子を機能別にみると、翻訳関連の遺伝子は発現上昇を示したものが多かったのに対し、ホルモンなどの受容体遺伝子と細胞内骨格関連の遺伝子では発現低下したものが多かった。また、肺炎クラミジアの感染細胞では感染前期にアポトーシスが抑制されるが、アレイ上感染後24時間でIAP(inhibitor of apoptosis protein)ファミリーのうちIAP1,IAP2,XIAPの発現上昇を認めた。RT-PCRでも、感染後24時間の細胞においてIAP1の発現が上昇していることを確認したが、感染後48時間の細胞では非感染細胞とIAP1の発現量に差がなかったことから、IAP1の発現上昇はクラミジアの増殖中一過性に宿主細胞のアポトーシスを抑制していると考えられた。 我々のグループは、炎症細胞のケミカルメディエーター遊離抑制剤であるトラニラストおよびプロスタグランジン合成酵素阻害薬であるアスピリンがin vitroで肺炎クラミジアの感染を抑制することを明らかにしている。トラニラストの作用機序と肺炎クラミジア感染との関連を解明するために、薬物作用時の宿主細胞の遺伝子発現変化を解析した。その結果、トラニラスト作用時は、クラミジア感染時とは逆にホルモン受容体などの遺伝子と細胞内骨格関連の遺伝子では発現上昇が見られた。 クラミジア感染時にこれらの宿主遺伝子発現が変化することは今回初めて明らかになり、非常に重要なイベントであると考えられる。今後はこれらの生理的意義について検討をしたい。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Shirai M. et al.: "Analysis of serological response to Chlamydia pneumoniae in patients with ischemic heart disease by recombinant MOMP-ELISA"Journal of Infection and Chemotherapy. 31. 180-185 (2001)
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[Publications] Shirai M. et al.: "Impaired development of HIV-1 gp16O-specific CD8^+ cytotoxic T cells by a delayed switch from Th1 toTh2 cytokine phenotype in mice with Helicobacter pylori infection"Euro J Immunol. 31. 516-526 (2001)
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[Publications] Shirai M. et al.: "Cloning and characterization of adenylate kinase from Chlamydia pneumoniae"J Biol Chem. 276. 13490-13498 (2001)