2003 Fiscal Year Annual Research Report
少子高齢化社会における企業と家計の投資・消費行動に関する国際比較研究
Project/Area Number |
13303009
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
榊原 茂樹 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (10030719)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 賢哉 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (30229067)
加藤 英明 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (80177435)
高尾 厚 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 教授 (20116221)
砂川 伸幸 神戸大学, 大学院・経営学研究科, 助教授 (90273755)
福田 祐一 大阪大学, 大学院・経済学研究科, 助教授 (00243147)
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Keywords | リストラクチュアリング / 資金調達 / 持ち合い解消 / 上半期効果 / リアル・オプション / 特許権 / 過剰債務 / GARCH |
Research Abstract |
本年度は、企業の実物投資行動および株式市場における資産価格評価の問題について研究を行った。 具体的には、1)株式持ち合いの解消が企業の投資行動および株価にどの様な影響を及ぼすのか、2)リアル・オプションの観点からみた実物投資決定理論の有効性、3)債務過剰企業における実物投資決定のメカニズム、4)株式市場におけるアノマリーの計測、5)派生証券の価格付けの理論展望、という5点について分析を行った。 得られた結論は次の通りである。1)株式持ち合いの解消による余裕資金の獲得は、新規の株式発行による資金調達より資本コストが小さく、企業の実物投資の増大及び株価の上昇に繋がる理論的可能性がある。2)リアル・オプションアプローチは、正味現在価値を用いた伝統的な投資決定理論と比べて、よりその適用範囲が広く、従来、評価が困難であった特許権の価値についても、配当を支払うヨーロピアン・コール・オプションモデルを使って、その評価を行うことが可能である。3)債務過剰企業の実物投資については、既存債務の存在が新規の実物投資を抑制するという見方と、占有債務者(Debtor in Possession)や新規債務への弁済優遇制度(DIP Finance)が過剰な企業の延命(過剰投資)につながっているとの見方が存在するが、これまでの研究結果では、過剰投資の傾向はあまり見られないこと、また、債務過剰企業の投資可能性が、事前の経営者による早期リストラクチュアリング着手の動機付けとして評価できること。4)わが国株式市場のアノマリーとして季節効果の存在に注目した。分析結果によると、上半期(1〜6月)に得られるリターンは、下半期(7〜12月)のそれを有意に上回っており、仮に、対象銘柄を企業規模(時価総額)及びPBR(株価純資産倍率)の違いで分類を行ってもその差は解消しない。また、上半期のうち1月を除いて検証を行ってみても、結果は同様であり、季節効果(紙・下半期)は月次効果とは独立した現象であること。5)少子高齢化社会のためのリスクヘッジ手段として重要な派生証券の価格付けに関して、原資産がGARCHとよばれる確率過程に従う場合、派生証券の価格がどの様に計算されるのか、特に、標準的な評価モデルであるブラック・ショールズ公式を用いた場合におけるミスプライシングの評価について考察した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 榊原 茂樹: "わが国株式市場における上半期効果"神戸大学大学院経営学研究科ディスカッションペーパーシリーズ. 662. 1-21 (2003)
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[Publications] 榊原 茂樹: "リアル・オプションと特許権の評価"国民経済雑誌. 第188巻・第5号. 1-14 (2003)
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[Publications] 砂川 伸幸: "事業のリストラクチュアリングと持ち合い解消による資金調達"ビジネス・インサイト. 第44号. 108-120 (2003)
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[Publications] 藤原 賢哉: "不良債権問題と金融市場のガバナンス"中央経済社(未定). 260