2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13304028
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 徹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (60245371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 行雄 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (90334250)
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Keywords | 2次元電子系 / 金属絶縁体転移 / 電子相関 / ウィグナー固体 |
Research Abstract |
不純物効果によって安定化されたウィグナー固体が実現されていると考えている強相関系の絶縁体相に対して、Si-MOS電子系とGaAs正孔系試料を用いた測定を行い、さらに電子相関の弱いGaAs電子系試料を用いて比較研究を行った。GaAs電子系では磁気抵抗は単調な振る舞いを示しAnderson局在的な電子状態を示唆するのに対し、相関の強いSi-MOS電子系とGaAs正孔系試料では大きな振動が現れた。振動のメカニズムは依然として明らかではないが、相関が強い場合にのみ観測されることから、ウィグナー固体中の電子(正孔)の運動が関与していることが期待される。また、GaAs正孔系では大きな正の軌道磁気抵抗が観測された。これまで、GaAs電子系などで大きな負の軌道磁気抵抗などが観測され磁場による干渉の破壊によって理解されていたが、これとは逆である。また、全磁場を固定した回転実験中で観測されているのでスピンの効果でもない。可能性の一つとしてスピン・軌道相互作用の存在による反局在効果が関与した現象を考えている。 Si/SiGe量子井戸中に形成された非常に小さい電気抵抗を持つシリコン2次元電子系に対して、低温下における電子スピン共鳴の実験を行った。磁場を2次元面に対して平行に印加した場合、共鳴時における電気抵抗率の変化は負であるが、電気抵抗率の温度依存性は磁場の値によらず金属的(正)であるので、共鳴による抵抗率変化は電子加熱では説明できない。実験結果は、共鳴による抵抗変化がスピン偏極率の減少によるものであり、スピン偏極率の変化が抵抗率を大きく変化させることを示している。電子スピン共鳴の測定は量子ホール領域にも拡張され、電子スピン共鳴を使うことによりSi/SiGe電子系のスピン偏極率を電子温度をあまり上げずに操作できることが確認された。
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Research Products
(6 results)