2004 Fiscal Year Annual Research Report
d-およびf-電子を含むIV族ナノクラスタ磁性物質の合成と物性
Project/Area Number |
13304031
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
谷垣 勝己 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60305612)
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Keywords | IV族元素 / ナノクラスタ / 磁性 / d-電子 / f-電子 / 遷移金属 / 超伝導 / 電子相関 |
Research Abstract |
IV族元素であるシリコンおよびゲルマニウム多面体クラスタから構成されるクラスレート物質において、種々の構造の物質を合成して、その電子状態ならびに発現する物性を総括的に研究した。特に、Ba_<24>Si_<100>とBa_<24>Ge_<100>は、クラスレート物質では初めての結晶学的に等価な構造の多面体ネットワーク物質が同時に超伝導を示す初めての例となった。興味あることに高圧下の状態で物性を詳細に検討したところ、等構造であるにもかわわらず電気伝導の圧力依存性が大きく異なることを見出した。この理由は、多面体クラスタの内でも、閉じていない多面体クラスタのポテンシャルに閉じ込められたBa原子の非調和振動運動と大きく相関しているためであることが明らかになった。実際に、電子相転移近傍においてはGe_<100>骨格ではBaの振動状態は異方的に大きく変化をすることが、X線回折実験をMEMで解釈した結果から、明らかにすることができた。一方、Si_<100>骨格に存在するBaの振動状態の温度依存性は、Ge_<100>骨格とは大きく異なり、Baは大きな異方的振動状態を示さないことが明らかになった。詳細な比熱ならびに磁化率測定の結果から、Ba_<24>Si_<100>とBa_<24>Ge_<100>系物質は、電子-フォノン相互作用が極めて大きい系であることが結論付けられた。このような結果は、IV族多面体ネットワーク物質において、クラスタケージ内に内包される元素の運動とネットワークに広がる伝導電子の相互作用が極めて重要な役割をすることを意味している。今後、骨格の構成元素にIII族などのヘテロIV族元素を導入する事や、ケージ内に閉じ込められる元素の種類を変える事で多様な電子状態を生み出すことができる事が期待される。
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