2004 Fiscal Year Annual Research Report
グリーンランド深層氷床コアを用いた氷期・間氷期の温室効果気体変動に関する研究
Project/Area Number |
13304035
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中澤 高清 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30108451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 周司 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00183129)
村田 功 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助教授 (00291245)
渡邉 興亜 国立極地研究所, 所長 (60111861)
庄子 仁 北見工業大学, 未利用エネルギー研究センター, 教授 (50201562)
菅原 敏 宮城教育大学, 教育学部, 助手 (80282151)
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Keywords | 氷床コア / グリーンランド / ノースグリップ / 温室効果気体 / 同位体 / 氷河期 / 間氷期 / 物質循環 |
Research Abstract |
グリーンランドのノースグリップ基地で掘削された深層氷床コアから、過去13万年にわたるCH_4、N_2O、CO_2、O_2の濃度およびN_2のδ^<15>N、O_2のδ^<18>O、N_2のδ^<15>N、含有空気量の変動を復元し、その原因を定量的に推定するために、引き続き分析を継続し、本年度はコア底部まで到達した。氷のδ^<18>Oの分析結果や堆積モデルを基にしてコアの編年を行うとともに、コアと含有空器間の年代差を推定し、フィルンにおける重力分離効果の補正を上記分析結果に適用することにより、諸要素の変動を明らかにした。また、南極ドームふじ基地で掘削された深層コアの分析結果を再整理し、本研究の結果と比較することにより、南北両極域におけるそれぞれの要素の変動の類似性と相違性を明らかにした。これらの比較によって見いだされた結果で特に興味深い点は、(1)CH_4濃度は常に北極域で高く、完新世中期を例外として、南北差は気温に深く関係している、(2)ノースグリップコアからのCO_2濃度はドームふじコアと比べてかなり高く、コア中でCO_2が生成されている可能性がある、(3)ノースグリップとドームふじから得られたN_2O濃度は完新世には比較的安定しているものの、氷期には不規則に大きく変動する、(4)両コアから得られたO_2濃度は、現在の大気に比べて異常に低く、フィルン底部での空気取り込み過程において分別が起こっている可能性がある、(5)両コアの含有空気量の時間変化の傾向は一致しているが、従来の知見とは明らかに異なっており、地球へ入射する日射量と関係があることが示唆された、ことなどである。さらに、上述のCH_4濃度の南北差を、南北両半球中高緯度と低緯度に分けた3ボックスモデルで解析した結果、濃度変動を引き起こすCH_4放出強度の地域的変動を氷期-間氷期にわたって明らかにすることに成功した。
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