2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13305058
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真嶋 哲朗 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (00165698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川井 清彦 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (50314422)
佐治 幸子 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (50197844)
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Keywords | DNA / DNA分子ワイヤ / 修飾DNA / DNAの機能化 / 分子デバイス / 核酸塩基 / ホール移動 / パルスラジオリシス |
Research Abstract |
DNAは多数の核酸塩基のナノスケールの配列制御によって遺伝情報を司っていると言う意味で、DNAはナノサイズの情報デバイスである。ナノサイエンス、ナノテクノロジーとの関係からDNA分子デバイスの創製は、学問的のみならず社会的要請の強い研究課題となっている。本研究では、種々の光機能性クロモファを共有結合によって導入した修飾DNAを用いることによって、クロモファ独自の光機能性を利用して修飾DNAに様々な機能性を賦与し、その機能を自由にコントロールすることによって、光機能化修飾DNAの特に生体系での分子デバイスとしての可能性を明らかにすることを目的として研究を行った。本年度は特にDNAの分子ワイヤとしての可能性を検討するための基礎実験を行った。DNA分子ワイヤは、最近特にナノテクノロジーとの関連から幅広い関心を集めている。これまで、分光法などでホール移動過程を直接観測した例はなく、そのダイナミクスは解明されていない。その理由は主に、ホールの生成量が少ないこと、ホールがグアニン(G)に捕捉されて生成するGのラジカルカチオン(G.^+)の吸収係数が小さいこと、G.^+の位置が特定出来ないことのためであった。そこで我々は、ホールの生成量が十分高いパルスラジオリシス法を用い、ホールのプローブ分手としてGより毛Eoxが低く(1.40V)、かつ吸光係数が大きく特徴的な吸収を有するピレン(Py)を特定位置に結合させたPy修飾DNAを使用して、DNA中のホールの生成とDNA中を流れるホールの動的挙動を直接観測することに成功した。具体的には、種々合成したPy修飾DNAのパルスラジオリシスにより、今まで光電子移動系では観測できなかった、1マイクロ秒以降のホールの挙動に関してPy.^+の過渡吸収め時間変化から観測することに成功した。この結果はDNAワイヤの可能性検討する上で非常に重要な知見である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] K.Kawai, T.Tanaka, S.Tojo, N.Ichinose, T.Majima: "Observation of Hole Transfer through DNA by Monitoring the Transient Absorption of Pyrene Radical Cation"J. Am. Chem. Soc.. 123・50. 12688-12689 (2001)
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[Publications] M.Nakamura, A.Ouchi, M.Mki, T.Majima: "Photochemical P-O bond fission of aryl dienthyl phosphates by a resonant two-photon reaction"Tetrahedron Letters. 42. 7447-7449 (2001)
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[Publications] H.Sakakibara, M.Ikegami, K.Isagawa, S.Tojo, T.Majima, T.Arai: "Novel Finding of the Effect Triple Bond on the Photochemical cis-trans Isomerization of C=C Double Bond"Chem. Lett.. 2001. 1050-1051 (2001)
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[Publications] N.Ichinose, T.Majima: "Fluorescence Radical Cation in Solution as a Probe For Ion Pair Dynamics"The Spectrum. 13. 14-19 (2001)
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[Publications] 一之瀬暢之, 真島哲朗: "液相中における有機ラジカルカチオンの蛍光ダイナミクス"放射線化学. 72. 31-36 (2001)
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[Publications] K.Kawai, T.Takada, S.Tojo, T.Majima: "Hole Transfer through DNA monitored by transient absorption of phenothiazine radical cation"Tetrahedron Letters. 43. 89-91 (2002)