2002 Fiscal Year Annual Research Report
物質循環と動植物の相互作用システムに関する群集生態学的研究
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13306012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大澤 直哉 京都大学, 農学研究科, 講師 (10221821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳地 直子 京都大学, 農学研究科, 助教授 (60237071)
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Keywords | 窒素 / 炭素 / 昆虫群集 / 植食性昆虫 / 土壌 / 植物フェノロジー / リター / 広葉樹 |
Research Abstract |
本研究は、管理生態系において土壌養分の違いが、1)植物の成長や形質の可塑性に与える影響、2)土壌動物・植食性昆虫・捕食性昆虫群集の構造と機能に与える影響、3)物質循環の現存量や分解生成速度に与える影響、を解明することを自的としている。この目的のために、落葉広葉樹として、コナラ及びミズナラを選定し、成分分析した土壌を用い鉢植えにして、水溶性の一定濃度の施肥を行い、土壌条件の良い区と悪い区(養分濃度に10倍の差を設けてある)・植食性昆虫を排除する区と排除しない区(ハウスの網の目の大きさで区別)、4つの区分を設定し、実験を開始した。この実験のためのハウスを、京都大学本部演習林の圃場に3棟建設し、この中で実験を行なっている。 土壌調査は、土壌コアサンプルを採取し、各鉢植えから個別にサンプリングを行い、購入したオートアナライザーも活用して、土壌水分含有量、全炭素量、全窒素量等を継続的に測定している。また任意に選んだ鉢からの水に含まれる窒素濃度等も定期的に測定している。全ての植物個体を対象に、基部直径、葉数、芽数、シュート長を定期的に測定し、植物のフェノロジーを調査し、葉面積、葉重、シュート長、シュート重を測定し、養分条件や昆虫の捕食が植物の成育にどのように影響を与えるかを調査中である。本年度の結果から、コナラでは、養分条件の良い個体では、食害の程度が大きく、シュート数が増加するという養分及び昆虫の食害に対する植物側の反応が示されている。葉及び枝については、C/N比、タンニン量等を継続的に測定中である。各区とも、リタートラップを設置して、リター及び植食性昆虫の糞等はすべて回収し、リター量やリーターの成分分析を継続して測定している。植食性昆虫に関しては、非サンプリング区で、購入したパーソナルコンピュータ及びソフトウエアーを活用して、昆虫群集のデータベースを作成中である。
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