2001 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の生体防御・免疫応答ネットワークシステムの分子レベルでの解明
Project/Area Number |
13306016
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Research Institution | 東京水産大学 |
Principal Investigator |
青木 宙 東京水産大学, 水産学部, 教授 (00051805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣野 育生 東京水産大学, 水産学部, 助手 (00270926)
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Keywords | ヒラメ / 生体防御 / 免疫 / 遺伝子発現ネットワーク / マイクロアレイ / リアルタイムPCR / T細胞 |
Research Abstract |
魚類おいて、病原微生物の初期感染時に起こる非特異的な生体防御機構と感染の進行に伴って起こる特異的な防御システム(免疫応答)機構について遺伝子レベルでの解明を目的として、今年度は免疫関連遺伝子の構造解析を行なうとともに、生体防御、免疫関連遺伝子発現量の定量ならびに遺伝子発現パターンの大規模解析法を確立した。 ヒラメのT細胞はα/β型とγ/δ型が存在し、細胞内への抗原認識シグナル伝達に関与するCD3分子にはγ/δとεが存在することがわかった。免疫関連遺伝子の発現を調節している転写因子CEBP遺伝子の構造およびその発現について解析した。 ヒラメの白血球および腎臓細胞をマイトジェンあるいは細菌内毒素であるリポ多糖で刺激した場合に、抗原提示・認識関連遺伝子(免疫グロブリンMおよびD、主要組織適合抗原、T細胞レセプター、CD3、CD8等)、サイトカイン関連遺伝子(インターロイキン1、腫瘍壊死因子、ケモカイン、それらのレセプター等)および転写制御因子関連遺伝子(IRF、NF-κB等)の発現の変化をリアルタイムPCRにより定量した。これらの遺伝子は刺激の種類や刺激後の時間で、その発現量が変化していることが明らかとなった。また、発現量の変化は数倍から数千倍まで、遺伝子によって異なった。さらに、遺伝子の発現ネットワークを明らかにするために、827種類の遺伝子をスポットしたマイクロアレイにより同様の実験を行なったところ、遺伝子の発現パターンは刺激の種類やその時間によって異なることが明かとなった。また、より多くの種類の遺伝子の発現が活性化されるのは、マイトジェンや細菌内毒素による刺激よりもウイルスの感染であることも明かとなった。今年度に確立した技術を用いることにより、今後はヒラメの免疫、生体防御遺伝子発現ネットワークシステムの解明が行えると考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Park, C.-L. I.Hirono, J.Enomoto, B.-H. Nam, T.Aoki: "Cloning of Japanese flounder Paralichthys olivaceus CD3 cDNA and gene, and analysis of its expression"Immunogenetics. 53. 130-135 (2001)
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[Publications] Laing, K.J, T.Wang, J.Zou, J.Holland, S.Hong, N.Bols, I.Hirono, T.Aoki, C.J.Secombes: "Cloning and expression analysis of rainbow trout Oncorhynchus mykiss tumuor necrosis factor-alpha"European J. Biochemistry. 268. 1315-1322 (2001)
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[Publications] Tucker C, Hirono I, Aoki T.: "Molecular cloning and expression of CCAAT/enhancer binding proteins in Japanese flounder Paralichthys olivaceus"Development. Comp. Immunology. 26. 271-282 (2002)