2001 Fiscal Year Annual Research Report
水田生態系ビオトープにおける物質循環に関するプロジェクト研究
Project/Area Number |
13306025
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
加藤 誠 東京農工大学, 農学部, 教授 (50015096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 拓 東京農工大学, 農学部, 助教授 (40237730)
平沢 正 東京農工大学, 農学部, 教授 (30015119)
福嶋 司 東京農工大学, 農学部, 教授 (30111420)
豊田 剛巳 東京農工大学, 生物システム応用科学研究科, 助教授 (30262893)
岡崎 正規 東京農工大学, 生物システム応用科学研究科, 教授 (00092479)
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Keywords | 水田工学 / 湛水直播栽培 / オープンパス・フーリエ変換IR分光システム / 赤外線炭酸ガス濃度計 / メタン / ガス濃度 / 温室効果ガス発生量 / 亜酸化窒素濃度 |
Research Abstract |
多種のプロジェクトのを総合する研究形式であるので、研究の初年度でもあり、稲作の季節性のためため、成果はジページのごとくである。その代表を以下に述べる。 今後の地球環境や水田環境を予測する上で、土壌圏からの温室効果ガス発生量の正確な見積もりはきはわめて重要な課題である。これまで主にチャンバー法を用いて各種ガス発生量の推定が行われてきたが、圃場全体のごく一部からの発生量しか測定できないこと、長時間にわたる連続測定が困難なことなど、正確な発生量の推定には様々な問題が残されている。そこで、オープンパス・フーリエ変換IR分光システム(オープンパスFT-IR)を用いて対象とする圃場一筆から発生する炭酸ガス、メタン、亜酸化窒素量の推定を試みた。 炭酸ガスについては、オープンパスFT-IRの代わりにポータブル赤外線炭酸ガス濃度計を用いた簡便法の開発も試みた。東京農工大学広域都市圏フィールドサイエンス教育研究センターFM本町の水田圃場の畦に環境大気遠隔モニター装置RAM2000(日本エアークラフトサプライ株式会杜)を、また、その圃場の対角線上の畦には反射板を設置し、一筆の水田圃場の大気のガス濃度をリアルタイムで連続測定した。RAM2000および反射板は水稲体直上とその30cm上の二地点に設置し、高度の異なる2地点のガス濃度から、空気力学的方法により発生量の推定を試みた。水田圃場大気中の温室効果ガス濃度は、RAM2000では炭酸ガスが270-350ppm、メタンが2.6-3.0ppm、亜酸化窒素が350-400ppbであった。簡便法による炭酸ガス濃度は270-490ppmと大きく変動した。2高度間で比べると、炭酸ガスおよび亜酸化窒素濃度は水稲体の直上でより高い場合もあれば低い場合、変化しない場合もあったが、メタンについては水稲体の直上で常に濃度が高い傾向にあり水田からのメタン発生が確認された。また、簡便法での炭酸ガス発生量は-300から500g/m<sup>2</sup>/h(平均値:日中-34.9、夜間48.1)と見積もられ、時間により大きく変動した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 本林隆, 成岡由規子, 和田誉: "不耕起・無代掻き水田に成育する水稲の生育・収量特性について"日本作物学会紀事. 70. 18-19 (2001)
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[Publications] 成岡由規子, 本林隆, 平沢正: "不耕起・無代掻き水田に成育する水稲の登熟期の純同化率が耕起・代掻き水田に成育する水稲に比較して高くなる要因"日本作物学会紀事. 70. 20-21 (2001)
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[Publications] 高木素紀, 本林隆, 日鷹一雅, 国見裕久: "不耕起栽培および代掻き栽培水稲に対する切葉処理が収量に及ぼす影響の比較"日本応用動物昆虫学会第45回大会講演要旨. 111 (2001)
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[Publications] 三王裕見子, 大川泰一郎, 相沢奈美江, 平沢正: "湛水直播栽培した水稲の生育と倒伏およびこれに関係する性質の品種間差-苗立ち密度に着目して"日本作物学会紀事. 70巻4号. 515-524 (2001)
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[Publications] 豊田剛己, 岡崎正規, 飯塚麻里代, 本林隆: "オープンパスFT-IRを用いた水田からの各種温室効果ガス発生量の見積もり"日本士壌肥料学会2002年度大会. (2002)
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[Publications] 桜井恭介, 吉川正人, 星野義延: "鬼怒川中流域における河跡池の諸特性と出現する植物群落との関係"日本生態学会第48回講演要旨集. 170 (2001)
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[Publications] SUZUKI, S., OKAZAKI, M., KOSAKI, T.: "Advanced Field Engineering(新編・水田工学)"Shinzan-sha Sci.& Tech. 388 (1999)