2003 Fiscal Year Annual Research Report
水田生態系ビオトープにおける物質循環に関するプロジェクト研究
Project/Area Number |
13306025
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Research Institution | Tokyo University Agriculture And Technology |
Principal Investigator |
加藤 誠 東京農工大学, 農学部, 教授 (50015096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福嶋 司 東京農工大学, 農学部, 教授 (30111420)
平沢 正 東京農工大学, 農学部, 教授 (30015119)
岡崎 正規 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 教授 (00092479)
豊田 剛己 東京農工大学, 大学院・生物システム応用科学研究科, 助教授 (30262893)
鈴木 創三 東京農工大学, 農学部, 教授 (30137898)
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Keywords | 水田モデル / 移流 / 拡散 / 窒素蓄積量 / 乾物生産 / 子実収量 / 水稲根圏土壌 / クロライト化 |
Research Abstract |
水田からの潅漑用水に乗った農薬や肥料分が水田の中における拡散および動態を解明した。水を張った平面水田モデルを使用し、水の流れに乗って移動するアルミニュウーム粉末を追跡することにより、その様子を観察する方法で、稲の成長につれて田面内の流水の動態の特徴を考察した。その結果、流入した水は渦を形成し、その渦を拡大しながら周辺の水を押すような挙動を示す。その様子はベクトル図により、流れの勢いの強い領域と弱い領域(よどみ点)の違いを観察できた。農薬のような溶質は、前者は移流により運ばれ、後者は拡散により移動する。したがって、水田内の農薬の拡散状態などを調査する場合、スケーリング技法を適応に際し、適切なサンプリングの場所やサンプリング数量などを考慮しなければ、最適な評価が困難であることが判明した。平澤は、関東地方で栽培された水稲新旧数品種を異なる化学肥料の施用量を変えて生育させ,乾物生産,子実収量および窒素蓄積量を比較した.その結果、乾物生産,子実収量および窒素蓄積量には明らかな品種間差が認められ、化学肥料の施用の有無に関係なく、等しい窒素施用条件では窒素蓄積量の大きい品種は,子実収量・乾物生産量が高い傾向があった。鈴木は、「根-粘土界面の養分の動態」として水稲根圏土壌中の粘土鉱物の特性の変化を検討した。既往の研究によると養分保持力の低下を招く2:1型粘土鉱物のうち、とくに養分保持力の大きいバーミキュライトやスメクタイトの養分保持力の低下を招くクロライト化のメカニズムについて、水稲根圏土壌およびモデル実験によって検討した。水稲根圏土壌ではVtあるいはSmのクロライト化が認められた。2)飽和・酸化反復処理で層間Feの残存によるVtのクロライト化および養分保持力の低下も認められたが、この層間Feは脱鉄処理ですべて溶解したことなどがわかった。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 平沢 正, 小沢知美, 宮本直子, 大川泰一郎: "関東地方で栽培されてきた水稲新旧数品種の生育特性の比較"日本作物学会紀事. 72. 178-179 (2003)
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[Publications] Nishimura, T, Makoto, K, Yamamoto, T: "Effect of Gypsum and Polyacrylamide application on erodibility of an Kunigami mahji soil."Proc.of Intl.Soil Conservation Orranization Conference. 12. 187-191 (2002)
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[Publications] Kikuchi, T., Okazaki, M., Toyota, K., Motobayashi, T., Kato, M.: "Change in total concentration and the form of cadmium in paddy soil after pollution by cadmium-polluted irrigation water."Proceedings of the 4^<th> International Symposium Environmental Issues in Korea and Japan, Management of River Environment and Material Cyclein Paddy Field Biotope. 4. 92-97 (2003)
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[Publications] Kyaw, K.M., Toyota, K., Okazaki, M., Motobayashi, T., Tanaka, H., Kato: "A case study on nitrogen balance in a paddy field planted with forage rice."日本土壌肥料学会講演要旨集. 49. 121 (2003)
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[Publications] Watanabe, H., Mark E.Grismer: "Numerical modeling of diazinon transport through inter-row vegetative filter."Journal of Environmental Management. 69. 157-168 (2003)
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[Publications] 渡邊裕純, 掛川洋次, 本林隆, 加藤誠, 鈴木創三: "自動灌漑装置とかけ流し灌漑における水田農薬の流出への影響"平成15年度農業土木学会大会講演会講演要旨集. 平成15年度. 5-33 (2003)
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[Publications] 西村 拓, 足立泰久, 岩田進午: "土のコロイド現象"学会出版センター. 471 (2003)