2001 Fiscal Year Annual Research Report
血管リモデリングにおける血管内皮細胞機能に関する分子病態学的研究
Project/Area Number |
13307009
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70108710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米満 吉和 九州大学, 医学部・附属病院, 助手 (40315065)
中川 和憲 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (50217668)
中島 豊 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (50135349)
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Keywords | 遺伝子導入 / 遺伝子治療 / ウイルスベクター / FGF-2 / VEGF / 血管新生 / 血管新生病 / 血管リモデリング |
Research Abstract |
平成13年度に得られた主な研究成果は以下のとうりである。 1.血管リモデリングにおける血管内皮細胞の機能解析:虚血病変ならびに血管新生病における血管内皮細胞の形質変換、また他の間葉系細胞との細胞間情報伝達における階層性についての基礎的研究を行った。 1)虚血病変における血管内皮細胞の機能変化 急性・重症虚血肢動物モデルにおけるSeV-FGF-2ならびに-VEGF遺伝子導入を虚血骨格筋に行った研究から、(1)導入FGF-2は、内因性VEGFならびにHGF発現をも誘導すること、(2)FGF-2、VEGFの虚血肢における過剰発現は、不可逆的副作用(高度浮腫、炎症→壊死)を生じ、これら因子の安全域は、非低酸素組織における内因性FGF-2の約100倍、VEGFの約5倍であった。(3)FGF-2導入は、虚血下肢の血流回復に有効であった。(4)虚血下肢の救肢効果は、FGF-2では明らかであったが、VEGFは逆に虚血を増悪させた。(5)FGF-2の平滑筋細胞、線維芽細胞による特異的HGF発現のシグナル伝達は、早期にはMAPKKを、後期にはRas.p70^<S6K>を介するPDGFの機能により誘導されることを証明した。従って、FGF-2遺伝子導入は、直接的効果のみならず他の血管新生因子の発現を誘導し、統合的ならびに階層的な血管新生促進効果があることが証明された。これら成果を踏まえて、ヒト虚血下肢に対するSeV-FGF-2遺伝子治療について、九大遺伝子治療審査専門委員会に申請中である。 2)アジュバント関節炎動物モデルにおける血管内皮細胞の形質変換について、FGF-2遺伝子導入、またVEGF機能抑制を行った実験より、(1)滑膜ならびに新生肉芽組織の血管新生は、関節炎を助長すること、また(2)FGF-2は破骨細胞の分化・増殖を誘導し、関節炎を助長させることを証明した。 2.新規遺伝子導入ベクターの開発:各種遺伝子を用いたSeVベクターの特性に加えてSIVベクターの導入・発現効率、転写活性特異性などについて検討を進めている
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Nakashima Y, et al.: "Distributions of diffuse intimal thickening in human coronary arteries : preferential expression in atherosclerosis-prone arteries from an early stage"Virchows Arch. (in press).
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[Publications] Ikeda Y, et al.: "Recombinant Sendai virus-mediated gene transfer to the retinal tissue of adult rats : efficient gene transfer by brief exposure"Exp Eye Res. (in press).
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[Publications] Yonemitsu Y, et al.: "Gene Therapy in Vascular Surgery Comes of Age"Surgery. 131. S261-S268 (2001)
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[Publications] Yamashita A, et al.: "Fibroblast growth factor-2 determines severity of joint disease in adjuvant-induced arthritis in rats"J Immunol. 168. 450-457 (2002)
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[Publications] Masaki I, et al.: "Recombinant Sendai virus-mediated gene transfer to vasculature : a new class of efficient gene transfer vector to the vascular system"FASEB J. 15. 1294-1296 (2001)
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[Publications] Ishibashi H, et al.: "Sp1 decoy transfected to carcinoma cells suppresses the expression of vascular endothelial growth factor, transforming growth factor β 1, and tissue factor and also cell growth and invasion activities"Cancer Res. 60. 6531-6536 (2000)