2001 Fiscal Year Annual Research Report
胆汁酸研究の新しい展開―転写因子としての肝臓・消化器癌への病態関与―
Project/Area Number |
13307040
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松野 正紀 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (80004737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 正徳 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (70206530)
阿部 高明 東北大学, 医学部・附属病院, 講師 (80292209)
海野 倫明 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (70282043)
片寄 友 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (20302151)
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Keywords | LST-1 / LST-2 / メトトレキセート / 転写調節 / 胆汁酸 / chenodeoxycholate / 消化器癌 / 抗癌剤感受性 |
Research Abstract |
本研究では胆汁酸を輸送するトランスポーターを通して、肝臓や消化器癌における胆汁酸の機能を明らかにしようとするものである。本研究の遂行に際し、肝臓や消化器癌で発現している有機アニオントランスポーターを明らかにすることが必要である。我々はLST-1に相同性を有する新たなトランスポーター遺伝子、liver-specific organic anion transporter-2(LST-2)のクローニングに成功し、これを発表した(Gastroenterology, 120, 2001)。このLST-2遺伝子は正常では肝臓のみで発現していたが、胃癌や大腸癌等の消化器癌で発現しており、癌細胞の増殖・浸潤などへの胆汁酸の関与が考えられた。また、LST-2はmethotrexate(MTX)を輸送することより、癌細胞のMTXの感受性を決定している機序の一つであると考えられた。その後我々はLST-2遺伝子の上流域を単離し、上流約1900bpの塩基配列を決定した。現在、癌化による転写制御の変化を検討している。 一方、肝特異的に発現しているLST-1の転写調節を検討し、LST-1遺伝子の上流域-60bpに存在するHNF-1結合領域にHNF-1aが結合し、転写調節を担っていることを明らかにした。またLST-1のルシフェラーゼリポータープラスミドを導入したHT17細胞にchenodeoxycholate(CDCA)を添加すると、転写活性が低下することを見い出した。このことより閉塞性黄疸時の高胆汁酸血症がLST-1の転写を抑制し、肝機能低下をもたらす可能性が示唆された。 また、胆汁酸レセプターであるFXRの発現ベクターを作成し、これをHT17に導入した細胞株した細胞株を作成した。今後、胆汁酸を添加することによりルシフェラーゼ活性がどのように変化するかを検討する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 海野倫明, 他: "胆汁酸トランスポーター機構の変化 -LST/OATPファミリーの機能と転写調節-"肝胆膵. 43巻6号. 1021-1027 (2001)
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[Publications] 海野倫明, 他: "胆汁酸の腸管循環を担う誘起アニオントランスポーターの発現と機能"消化と吸収. 24巻1号. 52-57 (2002)
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[Publications] 海野倫明, 他: "肝臓の胆汁酸トランスポーターとその機能"肝胆膵. 41巻5号. 727-735 (2000)
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[Publications] 阿部高明, 海野倫明, 他: "有機アニオントランスポーターoatp/LSTとその機能"蛋白質核酸酵素. 46巻5号. 612-620 (2001)
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[Publications] Abe T, Unno M, et al.: "LST-2, a human liver-specific organic anion transporter, determines methotrexate sensitivity in gastrointestinal cancers"Gastroenterology. 120,(7). 1689-1699 (2001)
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[Publications] Ito A, Yamaguchi T, Onogawa t, Uno M, et al.: "Distribution of organic anion-transporting polypeptide2(oatp2) and oatp3 in the rat retina"Invest Ophthalmol Vis Sci. 43,(3). 858-863 (2001)