2002 Fiscal Year Annual Research Report
創傷治癒の分子生物学的機構解析と組織工学法に基づく創傷部位再生
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13307051
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Research Institution | NAGASAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤井 徹 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (60136661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秋田 定伯 長崎大学, 医学部附属病院, 助手 (90315250)
平野 明喜 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (90208835)
永山 雄二 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (30274632)
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Keywords | 過剰創傷治癒 / IGF-1 / TGF-β / シグナル伝達 / p38 / ATF-2 リン酸化 |
Research Abstract |
創傷治癒異常の内、ケロイドは過剰なマトリックスの産生過剰状態にあり、有痛性で、周囲健常皮膚への浸潤・それに伴うケロイドの増大、炎症の遷延化を来す。我々のこれまでのケロイド内でのIGF-1受容体の過剰発現とアポトーシス抵抗性に対するIGF-1受容体の関与に加え、ヒト線維芽細胞の増殖・細胞外マトリックスの産生に強く関与するとされるTGF-βについて、特にIGF-1シグナル伝達とTGF-βとの関連について検討した。 長崎大学倫理委員会承認後、インフォームド・コンセントの得られたヒト正常線維芽細胞、ケロイド線維芽細胞につき細胞増殖性、応答性、シグナル伝達解析した。一部解析にはマウス3T3細胞、HepG2細胞を用いた。 TGF-β添加にてcollagen I、Fibronectinタンパク発現は正常細胞、ケロイド細胞共に上昇したものの、ケロイドにおいてIGF-1併用時相加効果は大きかった。mRNAレヴェルでは併用時ケロイドにおいて発現上昇率は最も大きかった。マウス細胞株を用いた検討ではARE転写活性はIGF-1とTGF-βで併用効果を認めなかったのに対し、3TP転写活性は有意な上昇を認めた。ケロイドにおける3TP転写活性は効果が最も大きかった。TGF-β、IGF-1各々の下流のシグナル伝達経路の阻害因子を用いた検討では、p38阻害剤でほぼ完全なシグナル伝達抑制を認め、PI3Kinase阻害剤では部分的な抑制に留まった。MEK阻害剤で抑制されなかったことから、更にp38と下流転写因子であるATF-2リン酸化検討したところ、TGF-βとIGF-1併用時にリン酸化の上昇を認めた。 以上の結果から、ケロイド治療において、PI3Kinase阻害剤による治療開発に繋がると考えられ、創傷部位再生に有効であることが示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Akita S, Rashid MA, Ishihara H, Daian T, Dazai S, Fujii T.: "Cytokine-dependent gp130 receptor subunit regulates rat modified axial-pattern epigastric flap"J Invest Surg. 15(3). 137-151 (2002)
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[Publications] Akita S, Nakagawa H, Akino K, Fukui M, Fujii T.: "Stem Cells in Cutaneous Wound Healing"Journal des Plaies et Cicatrisations. (in Press).
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[Publications] Daian T, Hirano A, Fujii T, et al.: "IGF-1 Enhances TGH-β-induced Extracellular Matrix Protein Production through the p38/ATGF-2 Signaling Pathway in Keloid Fibroblasts"J Invest Dermatol. (in Press).
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[Publications] 大浦武彦, 藤井徹, 宮地良樹, 藤井徹 他: "褥瘡危険因子とわかりやすい褥瘡予防・治療ガイドライン"日本医事新報. 4037. 19-29 (2001)
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[Publications] 平野明喜, 鈴木弘之: "口唇裂、口蓋裂患者の顎骨骨切り術施行におけるチーム医療-形成外科と矯正歯科の立場より-"形成外科. 45巻3号. 223-230 (2002)
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[Publications] Hirano A, Suzuki H: "Factors related to relapse after Le Fort I maxillary advancement osteotomy in patients with cleft lip and palate"Cleft Palate-Cran J. 38(1). 1-10 (2001)
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[Publications] 平野明喜: "形成外科ADVANCEシリーズII-9、骨延長術 細菌の進歩。波利井清紀監修、杉原平樹編集"克誠堂出版. 230 (2002)