2002 Fiscal Year Annual Research Report
水圏における複合有機コロイド系の動態を支配する生物複雑性メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
13308029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
永田 俊 京都大学, 生態学研究センター, 教授 (40183892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 勲夫 東京大学, 海洋研究所, 教授 (30107453)
森崎 久雄 立命館大学, 理工学部, 教授 (50125671)
和田 英太郎 総合地球環境学研究所, 教授 (40013578)
小川 浩史 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (50260518)
小暮 一啓 東京大学, 海洋研究所, 教授 (10161895)
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Keywords | コロイド / 微生物 / 海洋 / 有機物 / 物質循環 / 食物連鎖 / 鉛直フラックス / 細菌群集 |
Research Abstract |
本研究は水圏におけるコロイド有機物の動態とそれを支配する微生物過程を学際的なアプローチから追求することで、海洋や淡水域における物質循環の新しい制御メカニズムを明らかにすることを目的としている。本年度の研究では、以下の成果が得られた。 1.前年度の研究により確立した超高感度顕微鏡画像解析システムを用い、有機物動態に関わる細菌群集の群集組成解析を実施した。沿岸海域における調査の結果、細菌の系統群組成の変動およびその増殖活性に関して新たな知見が得られた。すなわち、αプロテオバクテリアが調査海域では生物量、生産ともに卓越しており、それに対して、他の系統群は、散発的な増殖を示すにとどまった。 2.コロイド有機物や微生物を迅速に計数し、その特性を明らかにする方法として、フローサイトメトリー法を検討した。琵琶湖における解析の結果、フローサイトグラム解析から得られる群集パターンが表水層と深水層で顕著に異なり、水深によって有機物動態に関わる細菌群集特性が大きく変化することが初めて明らかになった。 3.海洋のコロイド有機物の重要な構成成分であるペプチドグリカンの分解過程を放射トレーサー法により解析し、分子内部位(糖鎖およびペプチド鎖)による分解速度定数の違いを初めて明らかにした。 4.沿岸海洋における深度別の微生物分布を解析するモデルを検討した。また、このモデルを用い、太平洋亜寒帯域における、細菌生産速度の分布パターンから、沈降性有機物(コロイドの凝集物)の深度別フラックスを求めたところ、セディメントトラップを用いた観測値に近い値が得られた。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 永田 俊: "海洋における「溶存有機物-微生物連鎖系」研究の新しい展開"日本プランクトン学会報. 49(1). 15-20 (2002)
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[Publications] 永田 俊: "溶存有機物の連鎖系"月刊海洋. 29. 120-125 (2002)
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[Publications] Nagata, T., Benedikt.M, Kirchman, D.L.: "Microbial degradation of peptidoglycan in seawater"Limnology and Oceanography. 48. 745-754 (2003)
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[Publications] 永田 俊: "第6章 ミクロ生態系への招待-水のなかに生きる小さな生命たちの働きと多様性。In :生物多様性科学のすすめ(大串隆之編)"丸善. 110-135 (2003)