不均質・不連続な深部岩盤の原位置岩盤三軸試験による調査と力学特性のモデル化

2003 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13355021
• Research Institution: Yokohama National University
• Principal Investigator: 谷 和夫 横浜国立大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50313466)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 金子 進 基礎地盤コンサルタンツ, 技術開発部, 主席調査技師 ; 岡田 哲実 電力中央研究所, 地盤耐震部, 主任研究員
• Keywords: 岩盤 / 原位置試験 / 強度 / 変形 / 調査

Research Abstract

「原位置岩盤三軸試験」法を1998年に考案した。ボーリングの孔底に中空円筒形状の試験体を掘削し、中央の小孔と外周溝(スリット)に側圧を作用させると共に、上面を軸方向に載荷した時の試験体の変形を計測する試験方法である。地下深部の岩盤(マス)の平均的な応力〜ひずみ関係(変形特性と強度特性)を、ゆるみの影響をほとんど受けずに直接に計測できる唯一の調査手段であることが特長である。
一昨年度は、この試験法をさらに進歩させ、中央の小孔を必要としない試験方法を考案した。このアイデアは、CCDを利用した三角測量法を活用することによって実現され、特許出願(特願2001-197869)した。中央の小孔を掘削する必要がないので、ゆるみの影響がさらに抑制されると共にコスト・ダウンにも資すると期待される。また、試験体のひずみ分布を得ることもできるため、岩盤の不均質性や不連続性の評価に資することが期待される。
昨年度は、考案したCCD計測手法を室内の一軸・三軸試験装置に取り込み、その実用性や性能を検討した。また、試験回数を減らすことが可能な多段階載荷の三軸圧縮試験法の適用性を検討した。さらに、試験体を成形する時の乱れの影響を極小化するために、高濃度の水溶性ポリマーを利用した掘削方法を新たに開発した。
今年度の研究活動は、以下の3点である。
(1)考案したCCD計測手法を利用して、不連続ならびに不均質な岩石供試体の変形状況を観察した。そして、せん断に伴って変形が局所化する状況を計測できることを示した。
(2)原位置岩盤試験を実施するために、試験装置を改善した。その結果、変位計測の精度およびスピードを約10倍改善することができた。
(3)次年度に実施する現場試験のサイトを検討し、凝灰角礫岩を対象岩盤に選定した。また、基礎的な情報を得るために、地質調査およびコアを用いた室内試験を実施した。

Research Products

• [Publications] 柳沢希実, 谷 和夫, 金子 進, 酒井運雄: "水溶性ポリマーの濃厚溶液を使用した新しいサンプリング方法のメカニズム"第33回岩盤力学に関するシンポジウム、土木学会. 49-56 (2004)
• [Publications] 武元欣弘, 谷 和夫: "CCD変位計測を利用した三軸試騨による不連続面を含んだ供試体の変形の局所化"第33回岩盤力学に関するシンポジウム、土木学会. 241-246 (2004)
• [Publications] 曾布川茂, 岡田哲実, 細野高康, 立川日出男, 谷 和夫: "原位置三軸試験における変位計測システムの改良"第39回地盤工学研究発表会、地盤工学会. (2004)
• [Publications] 岡田哲実, 野崎隆司, 池見元宣, 谷和夫: "電中研式原位置岩盤力学試験法の開発"電力中央研究所、研究報告. No.U02023. 36 (2003)
• [Publications] 柳泳希実, 金子 進, 酒井運雄, 谷 和夫: "水溶性ポリマーの濃厚溶液を用いた乱れの少ないサンプリング"第38回地盤工学研究発表会、地盤工学会. 137-138 (2003)
• [Publications] 谷 和夫, 白井美代, 金子 進: "水溶性ポリマーの濃厚溶液を利用したサンプリング方法の考え方"第39回地盤工学研究発表会、地盤工学会. (2004)