2001 Fiscal Year Annual Research Report
有害化学物質の毒性評価のための遺伝子改変動物のレパートリーの構築
Project/Area Number |
13357005
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Research Institution | 山梨医科大学 |
Principal Investigator |
前田 秀一郎 山梨医科大学, 医学部, 教授 (10117244)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須 民江 名古屋大学, 大学院・医学研究科, 講師 (10020794)
小泉 昭夫 京都大学, 大学院・医学研究科, 教授 (50124574)
山本 雅之 筑波大学, 基礎医学系(先端学際領域研究センター), 教授 (50166823)
鏡 良弘 株式会社トランスジェニック, 研究開発本部, リーダー(研究職)
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Keywords | 有害化学物質 / 遺伝子改変動物 / 環境リスク / 毒性評価 / ダイオキシン類 |
Research Abstract |
1)TCDDを妊娠マウスに投与し、体内の胎仔脳あるいは頭部のmRNAの量や種類を、非投与妊娠マウス体内の胎仔脳あるいは頭部のmRNAの量や種類と比較解析し、TCDDが、Wntシグナル伝達系を介して、脳神経系における毒性を発現する可能性を見出した。また、唾液腺で発現している3種の遺伝子の発現量がTCDD投与群と非投与群で差異があることを見出した。これら新知見をもとに今後、TCDDの脳及び唾液腺におよぼす影響の分子機構を明らかにしたい。 2)転写因子Nrf2欠損マウスでは,排気ガスへの曝露によりDNAアダクトが過剰に産生されていることから,Nrf2により制御される酵素群がディーゼルエンジン排気ガスに対する生体防御に重要であることが示唆された。 3)Nrf2欠損マウスでは、アセトアミノフェンに対する感受性が顕著に上昇していることから,薬剤の急性毒性の発症防止にNrf2の標的遺伝子群が重要であることが明らかとなった。 4)0.05%フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)を投与した野生型マウスでは胎仔の吸収の増加と新生仔死亡率の増加がみられたが、ペルオキシゾーム増殖剤活性化受容体(PPARalpha)欠損マウスでは観察されなかった。これらの結果はDEHPの繁殖に対する影響にPPARalphaが深く関与していることを示すものであり、この核内受容体遺伝子改変動物の使用がDEHPの毒性発現機構の解明、ひいてはリスク評価に有用であることを示す。 5)TCDD感受性の違いに関与する因子を同定するため、TCDDへの感受性が高いと考えられる家族性高TSH血症家系を調べ、2家系につき、3q26に責任遺伝子の存在が確認された。現在候補遺伝子の検索を進めている。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Soma, M., Tamaoki, T., Kawano, H., Ito, S., Sakamoto, M., Okada, Y., Kanba, S., Hamada, Y., Ishihara, T., Maeda, S.: "Mice lacking serum amyloid P component do not necessarily develop severe autoimmune disease"Biochem. Biophys. Res. Commun. 286(1). 200-205 (2001)
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[Publications] Usui, I., Kawano, H., Ito, S., Hamada, Y., Ishihara, T., Maeda, S.: "Homozygous serum amyloid P component-deficiency does not enhance regression of AA amyloid deposits"Amyloid : J. Protein Folding Disord. 8(2). 101-104 (2001)
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[Publications] Enomoto, A., Itoh, K., Nagayoshi, E., Haruta, J., Kimura, T., O'Connor, T., Harada, T., Yamamoto, M.: "High sensitivity of Nrf2 knockout mice to acetoaminophen hepatotoxicity associated with decreased expression of ARE-regulated drug metabolizing enzyme and antioxidant genes"Toxicol. Sci. 59(1). 169-177 (2001)
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[Publications] Ramos-Gomez, M., Kwak, M-K., Dolan, P.M., Itoh, K., Yamamoto, M., Talalay, P., Kensler, T.W.: "Sensitivity to carcinogenesis is increased and chemoprotective efficacy of enzyme inducers is lost in nrf2 transcription factor-deficient mice"Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 98(6). 3410-3415 (2001)
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[Publications] Takahashi, T., Nozaki, J., Komatsu, M., Wada, Y., Utsunomiya, M., Inoue, K., Takada, G., Koizumi, A.: "A new locus for a dominant form of multinodular goiter on 3q26.1-q26.3"Biochem. Biophys. Res. Commun. 284(3). 650-654 (2001)