2001 Fiscal Year Annual Research Report
ABCトランスポーター遺伝子多型に基づくヒト生体中での機能解明
Project/Area Number |
13357020
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
家入 一郎 鳥取大学, 医学部・附属病院, 助教授 (60253473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦江 明憲 九州臨床薬理クリニック, 臨床研究部長
樋口 駿 九州大学, 大学院・薬学研究府, 教授 (40218699)
大坪 健司 鳥取大学, 医学部・附属病院, 教授 (80260701)
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Keywords | MDR1遺伝子 / MRPs遺伝子 / 薬物脳移行 / 遺伝子多型 / モルヒネ / ジゴキシン / オーダーメイド医療 |
Research Abstract |
1.MPR1遺伝子多型解析:新規変異をexon5などに数ヵ所認めた。 2.MDR1遺伝子多型の機能評価:ジゴキシンを基質とし、経口、静注による吸収率及びクラリスロマイシン(CAM, P糖たんぱく阻害剤)併用時の吸収率とMDR1多型の関与を評価した。その結果、2箇所の変異によりジゴキシンの吸収率は有意に上昇した。さらに腎クリアランスの低下を見た。これらの結果より、小腸での薬物の管腔側への排出低下、腎尿細管での尿中への排出低下が同時に生じることが明らかとなった。CAM併用時は、変異のない被験者のみで吸収率の有意な上昇を見た。両薬物の相互作用は、経口投与のみで生じ、ジゴキシンの適正使用にはMDR1遺伝子多型が極めて重要である。 3.薬物脳移行:MDR1、MRP1の基質である99mTc-MIBIを健常成人に静脈内投与し、脳移行をSPECTを用い評価することで、両トランスポーターの機能評価及ぴ遺伝子多型の関与を検討した。その結果、99mTc-MIBIは脳移行を見る理想的な基質で、脳移行を線形モデルで良好に表現できた。遺伝子多型との関連では、MRP1遺伝子多型との関与が示唆された。 4.モルヒネの適正使用:ガン疼痛のモルヒネ療法に異なった臨床反応(低用量で錯乱を発現する高感受患者と極めて高用量でも副作用もなく、疼痛効果も弱いnon-responder患者)を示す2名の患者を対象に、モルヒネの体内動態や効果への関与が予想される4種類の遺伝子解析を行った。UGT2B7,MDR1,MRP2,MOR遺伝子構造には、両患者でまったく異なった結果が得られた。解析対象遺伝子にMRP1を、モルヒネ及び6位、3位グルクロン酸抱合体濃度測定も加え、患者数を増やし、実用化を目指す。
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