2001 Fiscal Year Annual Research Report
放射線によるナノ領域化学反応制御-格子欠陥の物理から格子欠陥の化学への新展開-
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13358008
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田辺 哲朗 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (00029331)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 功 京都大学, 大学院・エネルギー科学研究科, 助教授 (70183861)
吉田 朋子 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (90283415)
武藤 俊介 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助教授 (20209985)
丸山 忠志 若狭湾エネルギー研究センター, 主席研究員
北條 喜一 日本原子力研究所, 東海研究所・個体物理研究室, 室長
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Keywords | ナノ構造解析 / 電子線エネルギー損失分光 / X線広域吸収端微細構造分析 / 照射損傷 / 格子欠陥 / 粒子線誘起発光 / レーザープローブ分析 / 放射線有効利用 |
Research Abstract |
本研究の目的は、格子欠陥および欠陥生成(照射損傷)を電子構造の変化を伴う化学的変化であるという認識のもとに新たな展開をはかり、より現実的で応用範囲の広い知見を与え、(a)ナノ領域での化学反応を制御し材料に新機能を付与させる、あるいは材料の性質を改質させること、これを利用して(b)放射線を有効に利用できるようにすることにあり、今年度の成果は以下の通りである。 (1)電子顕微鏡の電子線を探針とし電子線回折、EELS、EXELFS等によりナノ領域の構造解析、構成元素同定への道を切り開き、実際にHe等のイオン照射により構成されるブリスタ構造の解明と、打ち込まれたHeの分布を明らかにした。 (2)またこの応用として、実際にプラズマ装置内で生成される炭素膜の構造解析にも成功した。 (3)SOR光を用いたEXAFS解析によりSiO_2ガラスの構造解析、特に高エネルギー粒子照射によるナノスケールの照射損傷構造解析を動径分布関数により解析する方法を確立した。 (4)レーザーを探針として、イオン照射により打ち込まれた黒鉛中の水素のナノスケール深さ分析を試み、この方法が深さ分析方法として利用できることを見出した。 (5)欠陥生成のその場過程を可視化するため、イオンあるいは電子励起による発光を測定する装置を完成させ測定を開始した。 (5)放射線による直接的化学反応効果を利用して放射線エネルギーによる有害物質の分解、あるいは水の放射線分解による水素製造にも取り組みとりはじめ、いわゆる環境ホルモンの分解に成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] S. Muto, T. Matsui, T. Tanabe: "Non-destructive analysis of surface blistering by TEM and EELS in a reflection configuration"J. Nucl. Mater.. 290-293. 131-134 (2001)
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[Publications] S. Muto, N. Yokoya, T. Tanabe: "Detailed structure analysis of deposited layer in TEXTOR by means of TEM technique"J. Nucl. Mater.. 290-293. 295-298 (2001)
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[Publications] 武藤俊介, 田辺哲朗: "エネルギー損失広域微細構造短距離構造解析-二体分布から多体分布導出へ-"日本金属学会誌. 65巻,5号. 332-337 (2001)
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[Publications] 五十嵐慎一, 武藤俊介, 田辺哲朗: "低角度入射電子顕微鏡法による表面微小構造体の非破壊分析"日本金属学会誌(2001)pp.423-426. 65巻,5号. 423-426 (2001)
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[Publications] N.Asaoka, S. Muto, T. Tanabe: "Formation of Si clusters in electron-irradiated SiC studied by electron energy-loss spectroscopy"Diamond and Related Materials, (2001)pp.1251-1254.. 10. 1251-1254 (2001)
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[Publications] T. Yoshida, T. Tanabe, et al.: "Degradation of Dibutyl phtalate in water by the aid of metals under γ-Ray irradaitaon"Chemistry Lett.2001,pp.876-877. 876-877 (2001)