2001 Fiscal Year Annual Research Report
効率的ヒト遺伝子機能解析のためのヒト培養細胞を用いたRNA干渉法の確立
Project/Area Number |
13358012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西郷 薫 東京大学, 大学院・理学研究科, 教授 (50136454)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
程 久美子 日本医科大学, 助教授 (50213327)
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Keywords | ヒトゲノム / RNAi / 哺乳類培養細胞 / ds RNA / SiRNA / ルシフェラーゼ / アポトーシス |
Research Abstract |
ヒトゲノム計画の結果、ヒトゲノムDNAのおおよその塩基配列が決められ、ヒト遺伝子機能の解析に関心が移りつつある。しかし問題はそれをどのようにして行うかである。RNAiとは、dsRNAを細胞に導入し、塩基配列特異的に遺伝子機能を破壊する技法で、線虫、ショウジョウバエや植物で広く使われるようになってきている。我々は、このRNAiが哺乳類遺伝子の機能解析に使えないかと検討してきたが、その結果、ある種の培養細胞では、使用可能であることを世界に先駆けて明らかにした。ヒトの培養細胞も含め多くの哺乳類細胞で、長いdsRNAを用いたRNAi効果をホタルのルシフェラーゼ遺伝子を標的として調べてみると、哺乳類培養細胞は、大きく分けて3つのグループに分けられることが分かった。第一は、チャイニーズハムスター細胞CHOに代表されるグループで、dsRNAを用いたRNAiが実行可能なもの、第2は、dsRNAの導入によりapoptosisを引き起こすグループ。第3は、dsRNAの導入によりapoptosisは引き起こさないが、対照として導入した遺伝子の転写を著しく阻害するグループである。第3のグループの場合には、ある特殊な処理をすることで、長いdsRNAを用いたRNAi効果を、対照となる遺伝子の発現を抑制することなしに引き起こせるらしいことを最近見出した(土井等、論文準備中)。また、一般に、長いdsRNAの代わりに、dsRNAをコードするDNAをトランスフェクションする事で、ある程度のRNAiを誘発できることも見出された(程等、論文準備中)。長いdsRNAの代わりに21bpのsiRNAを用いて、哺乳類細胞で広くRNAi現象を惹起することが可能であることが分かってきた。しかし実際には、塩基配列等の問題点が有ることも指摘されており必ずしも全ての場合にうまくいく訳ではないことも分かりつつある。系統的な研究で、siRNAによるRNAi最適化に関するヒントをつかみつつある(程等、論文準備中)
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