2004 Fiscal Year Annual Research Report
マカカ層サルES細胞を用いた遺伝子改変ザル作出技術の実用化
| Project/Area Number |
13358014
|
|---|
| Research Institution | Shiga university of medical science, Research center for animal life science |
|---|
Principal Investigator |
高田 達之 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 助教授 (90206756)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥居 隆三 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 教授 (50106647)
木村 博 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (00110560)
木本 安彦 田辺製薬(株)創薬研究所, 所長
土屋 英明 滋賀医科大学, 動物生命科学研究センター, 助手 (10378440)
|
|---|
| Keywords | サルES細胞 / GFP / 遺伝子改変 / 核移植 |
|---|
| Research Abstract |
我々はこれまでカニクイザルES細胞に蛍光蛋白GFP遺伝子を導入し、多分化能を有するGFP発現カニクイザルES細胞(GFP-ES)の作製に成功した。このGFP-ES細胞をカニクイザル4〜6細胞期の正常発生胚に注入すると、割球と混じり合って増殖し、キメラ胚盤胞を作る能力があることを証明した。
さらに、胚移植を行うための腹腔鏡を用いた移植適期のレシピエント個体の選別技術の確立、プロゲステロンを封入したシリコンチューブ埋没、抜去による月経と排卵の誘発に成功した。
以上の結果からサルES細胞樹立、遺伝子導入、再構築胚の作製から効率的な移植適期のレシピエント個体の選別、人工的作製に至るサルにおける発生工学技術の基礎が確立できた。
昨年度までこのGFP-ES細胞をカニクイザル4〜6細胞期の正常発生胚に注入後、レシピエント個体の卵管に移植し、キメラザルの作出を行ってきたが、妊娠には成功したものの、生きた産子は得られなかった。
そこで今年度は生きた遺伝子改変ザル(キメラザル)作出のため、このGFP-ES細胞を用いたキメラザルの作製を集中的に行った。
上記の技術にさらに改良を加え、キメラ胚の胚移植を行った結果、1頭の妊娠、正常出産に成功した。この個体の皮膚、および血液を採取し、蛍光顕微鏡による観察を行ったところ、明確なGFPの発現は認められなかったが、これら組織からゲノムDNAを抽出し、GFP遺伝子の存在をPCR法により調べたところ、遺伝子レベルでキメラであることが明らかになった。すなわち世界で初めてES細胞を用いたキメラザルを誕生させることに成功した。
現在より詳細なGFPの発現、およびキメラ率を解析中である。
|
