2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13410012
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
熊野 純彦 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 助教授 (00192568)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 勉 法政大学, 文学部, 教授 (90114636)
谷 隆一郎 九州大学, 人文科学研究院, 教授 (60128048)
関根 清三 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 教授 (90179341)
湯浅 弘 川村学園女子大学, 人間文化学部, 助教授 (10230608)
寿 卓三 愛媛大学, 教育学部, 教授 (30186712)
|
Keywords | 倫理 / 身体 / ギリシャ思想 / 中世キリスト教思想 / 霊肉ニ元論 / 心身二元論 / 心身合一 / 人格 |
Research Abstract |
本研究は、西洋倫理思想史ならびに西洋哲学史において古来問われつづけてきた「身体」の問題をめぐって、現在的な状況との関わりとのなかで改めて正面から問いなおそうとするものである。本年度は、研究計画の二年次目であり、西洋倫理思想史の源泉としての、古代ヘブライ思想、ギリシア思想ならびに中世キリスト教思想について、その読み直しをはかるとともに、それとの反照において、近代および現代の西洋倫理思想史における身体問題の展開をとらえかえそうとした。具体的には、時代ごとに区分された各分科会が、随時、研究会を開催するとともに、9月には全体研究会を開催して、研究の方向を協議し、またこれまでの研究成果を報告しながら、その検討を行った。また、3月には、中世キリスト教思想担当者との研究打合せ・研究方向の討議・研究成果の突き合わせを行った。その結果、通常、歴史的に対立するものとしてとらえられる、近代以前の身体観と近代以降の身体論とが、これまでそう認定されてきた以上の内在的な類似性と連続性を有することが明らかになった。また当の類似性、連続性が現代の様々な身体研究のうちにも反響していることが確認された。すなわち、古代・中世思想における身体観も、常識的にはそうとらえられるほど素朴なものではなく、霊肉二元論という宗教的な表象の影をおびたものであるにせよ、近代以降先鋭化するとふつうは理解されている、心身の対立をすでに知っていることが解明された。近現代の、身体をめぐる哲学的・倫理学的思考にあっても、そうした問題系が幾たびも反復的に回帰しているのである。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 熊野 純彦: "差異・他者・外部-広松哲学における<否定的なもの>をめぐって"情況. III・20号. 56-69 (2002)
-
[Publications] 熊野 純彦: "<過ぎ去ったもの>をめぐる思考のために-追憶と傷痕とのあいだで"歴史を問う. 2巻. 181-205 (2002)
-
[Publications] 熊野 純彦: "<蛍>のゆくえ-小林秀雄のベルクソン論によせて"文學界. 56巻. 268-282 (2002)
-
[Publications] 関根 清三: "イザヤの頑迷預言をめぐる覚書-拙論の論評にお応えしつつ-"聖書学論集. 34号. 69-88 (2002)
-
[Publications] 関根 清三: "『ユングとキリスト教』とその前後を読む"湯浅泰雄全集. 3巻. 402-430 (2002)
-
[Publications] 川本 隆史: "公民科教育という試練の場-<教育における臨床の知>に寄せて"教育学研究. 69巻. 12-23 (2002)
-
[Publications] 関根 清三: "倫理の探索-聖書からのアプローチ-"中公新書. 254 (2002)