2001 Fiscal Year Annual Research Report
行動選択における認知情報と動機づけ情報の統合メカニズムに関する生理心理学的研究
Project/Area Number |
13410029
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
渡辺 正孝 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 参事研究員 (50092383)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 崇 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (30225429)
彦坂 和雄 財団法人 東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 研究員 (60129004)
|
Keywords | 前頭連合野 / サル / PET実験 / マイクロダイアリシス / ワーキングメモリー / 動機づけ / 認知的負担 / セルフコントロール |
Research Abstract |
本研究は、目的志向行動において認知情報と動機づけ情報がどのように関わるのか、またどのように統合されるのかを生理心理学的に解明することを目的としている。そのために、(1)サルをセルフコントロールと呼ばれる認知-動機づけの葛藤事態におき、そこにおける認知・動機づけ情報の相互作用を行動分析のレベル、前頭連合野のニューロン活動のレベル、前頭連合野の神経伝達物質のレベルで分析する。また(2)サルにおける学習課題において認知的負荷と報酬をいろいろと変化させ、それが学習行動にどのような影響を及ぼすのか、またそれが脳、特に前頭連合野の活動レベルではどのように表現されるのかを調べる、という2つの実験的研究を行うものである。本年度の成果は以下の通りである。 1.セルフコントロール課題に関する訓練装置を作成し、訓練のためのコンピュータープログラミングを行った。今後、サルの訓練を始める予定である。 2.認知的負荷と動機づけの強さの違いが前頭連合野の活動性や神経伝達物質の振る舞いに与える影響に関して次のような実験を開始した。 (1)サルに記憶負荷のあるワーキングメモリー課題と、負荷のないコントロール課題を訓練し、サルがそれぞれの課題を遂行しているときの報酬として好ましいものとそうでないものに2種類を用い、ワーキングメモリー課題に関係する前頭連合野の活動性が報酬の好ましさによりどのような修飾を受けるのかを調べるPET実験を行なった。データは現在解析中である。 (2)サルにワーキングメモリー課題とコントロール課題を訓練し、報酬として好ましいものとそうでないものの2種類を用いて課題を遂行させる。その間に前頭連合野から脳内物質をサンプリングし、認知的負荷と動機づけの違いがドーパミン、GABAなどの神経伝達物質の振る舞いにどのような影響を与えるのかを調べるマイクロダイアリシス実験を開始して、データの取得を進めている。
|
-
[Publications] Watanabe, M.: "Behavioral reactions reflecting differential reward expectations in monkeys."Experimental Brain Research. 140-4. 511-518 (2001)
-
[Publications] 渡辺 正孝: "報酬情報処理と前頭連合野"神経心理学. 17・2. 104-109 (2001)
-
[Publications] Watanabe, M.: "Coding and monitoring of motivational context in the primate prefrontal cortex."Journal of Neuroscience. 22・6(印刷中). (2002)
-
[Publications] Watanabe, M.: "Integration across Multiple Cognitive and Motivational Domains in Monkey Prefrontal Cortex. In "The Frontal Lobes"(eds. Stuss, D. T. & Knight, R.)"Oxford Univ. Press. 11 (2002)