2003 Fiscal Year Annual Research Report
多言語社会をめざす言語運動・言語政策に関する総合的研究
Project/Area Number |
13410056
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Research Institution | Joshibi University of Art and Design |
Principal Investigator |
林 正寛 女子美術大学, 芸術学部, 教授 (30164966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 礼子 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (00275504)
藤井 毅 東京外国語大学, 外国語学部, 助教授 (20199285)
原 聖 女子美術大学, 芸術学部, 教授 (20180995)
桜井 隆 明海大学, 外国語学部, 助教授 (60255031)
安田 敏朗 一橋大学, 大学院・言語社会研究科, 助教授 (80283670)
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Keywords | 多言語社会論 / 多言語主義 / 言語帝国主義 / 少数言語復興運動 / 言語権 / 多文化主義 / 言語法 / 言語政策 |
Research Abstract |
今年度は、研究プロジェクトの最終年なので、多言語社会論、多言語主義、言語帝国主義、少数言語運動、言語政策などの主要な論点に関するまとめを行うと同時に、ヨーロッパ、日本についての平成13-14年度の議論を引き継ぐ意味で、アジア・アフリカとの比較をプロジェクトの重点項目に掲げた。研究代表者および研究分担者の組織する多言語社会研究会では、東京で4回(平成15年4月、6月、9月、平成16年1月)、沖縄県那覇市で1回(平成16年3月)、研究会を開催し、また、平成15年12月に名古屋で研究大会を開催した。このなかでは、ナミビア、セネガル、ウガンダ、タンザニアなど、アフリカ諸国の言語政策と多言語状況について、また、フィリピン、台湾、中国、韓国などアジア諸国の言語政策について検討を行った。研究大会では、このほか、ヨーロッパの少数言語振興運動、アメリカ大陸の言語政策、日本の言語政策に関する理論的検討とアジア・アフリカ諸国との比較を行い、さらには、社会言語学全般の理論的検討も行った。また、平成15年10月25日-26日の東京外国語大学で開催されたシンポジウム「脱帝国と多言語化社会のゆくえ -アジア・アフリカの言語問題を考える-」については、その企画に全面的に協力して、多言語社会論に関する議論を深めた。とりわけ、南アフリカ、タンザニア、セネガル、マレーシア、台湾から招聘された自国の言語政策の専門家たちとの討議はたいへん有意義なものであった。平成16年3月、沖縄での研究会にあわせて、3年間のプロジェクトの総括を行い、報告書をまとめた。論点の主なものとしては、ヨーロッパではEUレベルでの言語政策を喚起するような、少数言語の言語運動が活発であること、アジア・アフリカでは、ヨーロッパを凌ぐような先進的多言語政策をとっている国々があること、また、多言語社会論として重要なのは、書きことばのレベルであり、また3言語以上の多言語社会こそ、目指すべき社会のあり方であること、などである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 安田 敏朗: "国語政策と方言学"21世紀の方言学(日本方言研究会編)(国書刊行会). 301-310 (2002)
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[Publications] 安田 敏朗: "日本語法律文体口語化と「満州国」-千種達夫をめぐって-"一橋論叢(日本評論社). 128巻・3号. 64-79 (2002)
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[Publications] 藤井 毅: "日本におけるアジア研究と史資料"アジア情報室通報. 第2巻・1号. 2-4 (2004)
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[Publications] 定松 文: "少数話者言語研究の社会学的意味の一考察"現代社会学(広島国際学院大学現代社会学部). 4号. 27-38 (2003)
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[Publications] 安田 敏朗: "脱「日本語」への視座-近代日本言語史再考II-"三元社. 398 (2003)