2003 Fiscal Year Annual Research Report
在日韓国人女性の社会階層と社会意識に関する実証的研究
Project/Area Number |
13410068
|
Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
金 明秀 京都光華女子大学, 人間関係学部, 助教授 (80309062)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲月 正 北九州市立大学, 外国語学部, 教授 (00232512)
田中 重人 東北大学, 大学院・文学研究科, 講師 (60294013)
|
Keywords | 在日韓国・朝鮮人 / 在日外国人 / エスニシティ / 社会階層 / 社会意識 / 移民 / 社会移動 |
Research Abstract |
昨年度はサンプリングが実施できなかったことにより研究計画がほとんど停滞したが、今年度に入ってもしばらくの間は計画の遅延が及んだ。その後、調査設計を変更することによって、おおむね実査に関して所期の目的を達成した。 収集されたデータの分析から、まず、日本人男性データと在日韓国人男性データを比較したとき、総じて資産の保有状況は在日韓国人男性のほうが低く、とくに文化資本に関連する項目では著しく格差が大きかった。通俗的な議論とも矛盾する結果ではないが、初めて実証的に確認された意義は大きい。 また、社会保障に関しては、1970年代までに各種の公的保障から疎外されてきた状況を反映し、保険や年金などについて制度の対象外となっている割合が他の外国人と比しても高いことが判明した。健康保険への非加入者は健康状態も相対的に悪い。こうした公的保障の欠落に対して、預貯金や家族間の私的な経済援助で対抗している姿も明らかになった。 エスニック・アイデンティティについては、母国に親族が存在するかどうかによって変化することがわかった。従来の移民研究とも合致する結果ではあるが、逆に母国に親族がいるケースにおいて日本での社会的ネットワークが発達しているという意外な発見もあった。 また、「同胞かどうか」という民族的境界の認識に関しては、「シンボル的側面」、「意識的側面」、「伝統的側面」、「場面的側面」の4つの次元があり、同胞集団の要件を構成していることが明らかになった。 ただし、サンプル数が少ないことにより分析に支障をきたすことがあり、追加調査を実施している。今後は追加サンプルを加えて、在日韓国人女性の階層と意識の分析を進めていく。
|