2004 Fiscal Year Annual Research Report
戦後処理政策と地域秩序の再編-中国、台湾、香港の場合
Project/Area Number |
13410110
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Research Institution | University of Shimane |
Principal Investigator |
別枝 行夫 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (80326397)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宇野 重昭 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (00054297)
鹿 錫俊 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (20272784)
貴志 俊彦 島根県立大学, 総合政策学部, 助教授 (10259567)
井村 哲郎 新潟大学, 人文学部, 教授 (50303095)
川島 真 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (90301861)
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Keywords | 接収 / 戦後処理 / 戦後接収 / 日華平和条約 / 国際研究者交流(中国・台湾) |
Research Abstract |
本年度は研究会・シンポジウムを開催し、中国・台湾の研究者との研究交流に重点をおいた。その内容は最終報告書に収録されるが、以下にその概要を示す。 1.研究会「日本敗戦時の接収および人材留用問題に関する研究会」(04年11月12日於:島根県立大学)では台湾師範大学・呉文星、吉林大学・衣保中、新潟大学井村哲郎(本プロジェクトメンバー)が日本敗戦時の中国本土ならびに台湾における接収問題と留用問題に関して報告した。接収問題に関しては井村が「ポーレー調査団」の調査報告に基づき新しい知見を示した。また、呉、衣が報告した留用問題についていえば、戦後、大陸・台湾に残った日本人の技術者や医療関係者が新中国および「新」中華民国の建国に寄与したことは、中国・台湾からみて微妙かつ敏感な問題であるため、現地における研究が進み難い状況があり、それゆえに今回の報告は研究の新しい地平を切り拓いたといえよう。 2.シンポジウム「戦後処理政策と地域秩序の再編」(04年12月11日-12日於:島根県立大学)では、学振研究員・大澤武司及び青山学院大学・飯島渉が上記に引き続き在華邦人問題を、上海外国語大学・胡礼忠及び華東師範大学・沈志華が中国建国後の対ソ関係から対日講和までを論じ、広島大学・小池聖一は戦後日本の各首相の対中外交をレヴューした。上記1.の諸報告とあわせ、中国問題の「連続性」が重要なテーマであった。即ち「戦後処理」とは日本の中国侵略にどう決着をつけるかという問題-例えば日本資産の接収であると同時に、これを接収した側(1)ソ連、(2)国民党、(3)共産党のそれぞれにとっての国家建設の問題でもあった。そして当然のことながら敗戦から占領期に入った日本自身の「新秩序」構築の問題でもあったことが、具体的な事例分析を通じて明らかになったのである。
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