2002 Fiscal Year Annual Research Report
近代欧米における「個」と「共同性」の関係史の総合的研究
Project/Area Number |
13410113
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
友田 卓爾 広島大学, 総合科学部, 教授 (70034824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 勝 広島大学, 総合科学部, 教授 (60233384)
安原 義仁 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (00093823)
岡本 明 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90025057)
井内 太郎 広島大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (50193537)
山田 園子 広島大学, 法学部, 教授 (10158199)
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Keywords | 歴史学 / 近代史 / 西洋史 / 欧米 / 共同性 / 公共性 / 市民社会 / 個人主義 |
Research Abstract |
(1)平成14年7月20日〜21日(於東広島市):槇原茂著『近代フランス農村の変貌-アソシアシオンの社会史-』(刀水書房2002年)の合評会を開いた。三人の論点提示者(岡本明、加藤克夫、久木尚志)と著者の「対話」の形式で合評をおこない、アソシエーションに特徴的な<共同性>の問題を中心に議論した。この際の議論を念頭において、秋に次の2回の個別報告会をもった。(2)平成14年10月12〜13日(於東広島市):「名誉の共同体-碑文建立と民主政-」,「中世イングランドにおける個と共同性-イースト・アングリアの事例から」.「中世都市からルネサンス都市への移行に見る共同性と個-ブルーニの『フィレンツェ市賛美演説』とアリスティーデスの『パンアテナイコス』-」,「イギリス革命期請願運動にみる個と共同性」,「ジョン・ロック『寛容論』(1667-75年)の課題と背景」。(3)平成14年12月21〜22日:(於松江市)「近世イギリスにおける課税の政治学-合法性、公平性、自立性-」「公共圏の狭降化-フランス総裁政府から統領政府・帝政期の個人・市民・公共社会(1795-1815)-」.「イギリス近代の福祉における・個中間団体・国家」。 上記のアソシエーションをめぐる共通テーマ討議(1)と個別テーマ報告(2)(3)を踏まえて、今後アプロチする共通課題についての見通しを得た。つまり、(a)近代化を個人化の過程として一面的に捉える(<個>を国家に向き合うものとして捉える)のではなく、他者との<共同性>との関わりにおいて捉える;(b)<個>と国家のあいだにある中間領域(空間)に焦点を合せて、多様な中間集団の<共同性>(支え合い)と<個>の関係史を考察する;(c)多様な中間集団の<共同性>が<公共性>(民主的な政治秩序の形成に関わる原理)を構築する際にまたは崩壊させる上にどのような役割を果たしたかを問う。
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Research Products
(14 results)
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[Publications] 友田卓爾: "イギリス革命期 大衆請願 の用法にみられる革新性"地域文化研究(広島大学総合科学部紀要I). 28巻. 39-69 (2002)
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[Publications] 前野弘志: "文字史料とモノ資料の狭間で-古代ギリシア語碑文の場合-"史学研究. 236号. 1-21 (2002)
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[Publications] 山代宏道: "ノルマン征服とバイユー=タペストリ-歴史叙述と図像資料-"西洋史学報(広島大学文学研究科西洋史教室). 29号. 1-21 (2002)
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[Publications] 山代宏道: "ノルマン征服と グローバリゼーション -教会改革運動と地域統合-"広島大学大学院文学研究科論集. 62号. 61-78 (2002)
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[Publications] 野嶌一郎: "サー・ロバート・フィルマーの契約論批判(一)"姫路法学. 37号. 1-22 (2003)
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[Publications] 山田園子: "ジョン・ロック 寛容論 四手稿の課題と背景(上)"広島法学. 26巻2号. 27-49 (2002)
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[Publications] 山田園子: "ジョン・ロツク 寛容論 四手稿の課題と背景(下)"広島法学. 26巻3号. 10-32 (2003)
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[Publications] 田中 優: "官吏と労働階級中央福祉協会-3月前期プロイセンにおける支配の-特質-"西洋史学. 207号. 45-63 (2002)
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[Publications] 高田 実: "イギリス近現代史におけるアイデンティティの多層性を考えるために"紀要(九州国際大学社会文化研究所). 50号. 177-198 (2002)
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[Publications] 岡本 明: "安藤隆穂編 フランス革命と公共性 (第5章、近代公共圏の法と初期政治秩序-1789年人権宣言から総裁政府まで-)"名古屋大学出版会. 356 (2003)
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[Publications] 岡本 明: "安藤隆穂編 フランス革命と公共性 (第6章、ナポレオン国家と公共圏)"名古屋大学出版会. 356 (2003)
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[Publications] 田村栄子: "宮田光雄・柳父国近編 ナチ・ドイツの政治思想 (5、「教育の限界」論争とナチ教員同盟の思想-フオルク概念の転換-)"創文社. 468 (2002)
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[Publications] 高田 実: "社会経済史学会編 社会経済史学の課題と展望 (31、近代イギリス労働者の生活セーフティネット-個と共同性の関係史をめざして-)"有斐閣. 529 (2002)
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[Publications] 山代宏道: "原野昇他 中世ヨーロッパ文化における多元性 (バイユー=タペストリーにみる文化的多元性)"渓水社. 173 (2002)