2003 Fiscal Year Annual Research Report
近代欧米における「個」と「共同性」の関係史の総合的研究
Project/Area Number |
13410113
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
友田 卓爾 広島大学, 総合科学部, 教授 (70034824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 勝 広島大学, 総合科学部, 教授 (60233384)
安原 義仁 広島大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (00093823)
岡本 明 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (90025057)
井内 太郎 広島大学, 大学院・文学研究科, 助教授 (50193537)
山田 園子 広島大学, 法学部, 教授 (10158199)
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Keywords | 歴史学 / 近代史 / 西洋史 / 欧米 / 共同性 / 公共性 / 市民社会 / 個人主義 |
Research Abstract |
(1)平成15年9月5・6・7日(於東広島市、広島大学):(1)個別報告-「17世紀イギリスにおける<公共性>概念の転換」「アメリカ植民地社会におけるタヴァン-共同性を育む自由な活動の空間-」「アソシアシオン論のスペクトル」「フランス・ユダヤ人の<同化>と二重のアイデンティティ」「ドイツ帝国建設期の社会政策の一特質-労働者保護と共同性-」「帝国・公共圏・女性-イザベラ・バードとリトル夫人の場合-」「オックスフォード最初のチュートリアル・クラス奨学生をめぐって-個人の上昇か集団としての向上か-」「革新主義期アメリカにおける公共性の転換」(2)共通テーマ討議-後述.(II)平成15年12月20・21日(於福岡大学):(1)個別報告-「ヴァイマル共和国における<医学の危機>のなかの<個>と<共同体>」「共同性に引き裂かれる個-第三帝国下のユダヤ人キリスト教徒の事例を通じて-」「19世紀のイギリス社会と民衆の政治文化」「1911年カーディフ港湾争議」(2)研究打ち合わせ-書物として出版する方向で調整等を行うことを確認した.(III)昨年度・今年度の個別報告と共通テーマ討議を踏まえて、報告書冊子作成に向けて、以下のことを確認した.(1)共同性の定義:「共通のもの」(共通の文化・信仰・倫理・知・福利・・・)を共有し、コミュニケーションによって構成された人と人の絆、社会関係.(2)個・中間領域(社会集団)・国家の相互関係を考察する.その際に私たちが<共有する知>は以下のこと-「個人の解放・個人化」は抽象的理論であり、歴史具体的な実体としての個は直接国家に向き合う存在ではなかった.個は家族から国家まで、多重の共同性のもとに生きているゆえに、そこで育まれる共同性とアイデンティティは重層的でさえあった.近代国民国家は自明なものとして捉えられない、相対的な存在でさえあった.したがって私たちは、個の自由・権利と共同性の問題を、個と国家の二元論や二項的対立として捉えるのではなく、重層的複合的な共同性に着目する視点にたつことにより、国家的統合過程における国家と社会集団のさまざまな関係(緊張・対抗・補完関係など)の歴史的文脈のもとで捉える.
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Research Products
(15 results)
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[Publications] 山代宏道: "中世ヨーロッパにおける巡礼の旅-時空間移動の視点から-"広島大学大学院文学研究科論集. 63. 33-50 (2003)
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[Publications] 野蔦一郎: "サー・ロバート・フィルマーの契約論批判(二)"姫路法学. 38. 122-148 (2003)
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[Publications] 山田園子: "ジョン・ロック『寛容論』における非国教徒観"広島法学. 27・2. 217-238 (2003)
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[Publications] 岡本勝: "アメリカ植民地社会におけるタヴァン-その機能と役割について-"地域文化研究(広島大学). 29. 69-96 (2003)
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[Publications] 加藤克夫: "第一帝政とフランス・ユダヤ人-「同化」イデオロギーと長老会体制の成立-"社会システム論集(島根大学). 8. 23-47 (2003)
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[Publications] 加藤克夫: "近代フランス・ユダヤ人のアイデンティティ試論-長老会体制とフランコ・ユダイスム-"立命館言語文化研究. 15・4(近刊). (2004)
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[Publications] 東田雅博: "ある英国人婦人と反纏足運動"史学研究. 242. 1-19 (2003)
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[Publications] 田村栄子: "「ナチズムと近代」再考"歴史評論. 645. 22-38 (2004)
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[Publications] 長田浩彰: "ユダヤ人前線兵士同盟(RjF)の終焉"ユダヤ・イスラエル研究. 19. 21-31 (2003)
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[Publications] Minoru Takada: "The Administration of Old Age Pensions and the Intermediate Bodies in Britain, 1909-1918"経営経済論集(九州国際大学). 9-3. 123-235 (2003)
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[Publications] 槇原茂: "地域に生きること-D.アルヴィ-『中部地方の農民を訪ねて』(1935年)にみる農村世界-"福祉文化(島根大学). 3. 43-48 (2004)
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[Publications] 岡本明: "ボナパルティズム論の再興のために"西洋史学論集(広島大学). 41(近刊). (2004)
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[Publications] 山代宏道: "原野昇ほか5名『中世ヨーロッパと多文化共生』(山代宏道「中世イングランドの多文化共生-「グローバリズム」と「ローカリズム」-」)"渓水社. 206(7-42 (2003)
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[Publications] 井内太郎: "史料が語る中世ヨーロッパ(井内太郎「16世紀の財務府における会計業務と財政収支関係史料について」)(国方敬司・直江眞一編)"刀水書房. 461(223-243) (2004)
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[Publications] 田村栄子: "身体と医療の教育社会史(田村栄子「『医の既存世界』を越える『女性個人の身体』論」)(望田幸男・田村栄子編)"昭和堂. 324(286-312) (2003)