2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本語諸方言に見られる中間言語的変異の研究-言語変異理論の立場から-
Project/Area Number |
13410139
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
太田 一郎 鹿児島大学, 法文学部, 教授 (60203783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二階堂 整 福岡女学院大学, 人文学部, 助教授 (60221470)
松田 謙次郎 神戸松蔭女子学院大学, 文学部, 助教授 (40263636)
日比谷 潤子 国際基督教大学, 教養学部, 準教授 (70199016)
助川 泰彦 東北大学, 留学生センター, 助教授 (70241560)
高野 照司 北星学園大学, 文学部, 助教授 (00285503)
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Keywords | 言語変異 / 社会言語学 / 方言 / 中間言語 / バリエーション / 言語接触 / 言語変化 / 言語変容 |
Research Abstract |
最終年度の今年度は,仙台と鹿児島で2度の研究報告会を行い,研究の進捗状況を確認し,議論した。また各人が以下の研究を行い,報告書を作成した。 (1)これまでに集めた文献とデータから,言語研究における変異理論の有用性の再点検,中間言語的変異の言語理論上の位置づけについて考察した。(太田) (2)南大東島と小笠原諸島の実態調査を行い二つの方言に見られる中間言語的要素を探った。琉球語を母語とする人、または小笠原英語を母語とする人との間に生まれた日本語には中間言語的な側面が著しく現れていることが分かった。(ロング) (3)福岡の談話資料と先行研究の結果をつき合わせ、検討。談話の話者への確認調査などを実施した。その結果、アンケート回答などではわかりにくい、文脈上の使用特徴などを明らかにすることができた。(二階堂) (4)日系カナダ人2、3世の自然談話録音資料を収集し、収集済みの資料とあわせて分析を行った。その結果、移住の時期、移住時の年齢、移住後の住環境(社会的ネットワーク)が言語変容に大きく関与することが明らかになった。(日比谷) (5)自然談話中の否定辞「-ない」の韻律強調の変異性について、特に年齢差に注目して調査した。また、「言語変異理論」の学術的ゴールや方法論、近年の展開に関するレビューを行い論考にまとめた。(高野) (6)拡大恒速度仮説の理論的追究と経験的証拠収集を行った。前者は、昨年度のNWAVでの発表をMatsuda(2003)にまとめた。また、進行中の変化のデータ収集のためのコーパスとして、国会議事録の検討を行った。(松田) (7)超級日本語学習者の日本語韻律習得に関する録音調査資料を言語変異論と中間言語理論の観点から分析した。特に複合語アクセント規則の習得に着目し,日本語母語話者の習得する規則と外国人学習者の習得する規則の相違に着目して検討した。(助川)
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[Publications] 高野照司: "言語変異理論再考〜「相関主義」なる誤解と説明能力"社会言語科学会第13回研究大会発表原稿集. (印刷中). (2004)
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[Publications] 松田謙次郎: "言語資料としての国会会議録検索システム"Theoretical and Applied Linguistics at Kobe Shoin. No.7. 55-82 (2004)
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[Publications] 松田謙次郎: "「拡大恒速度仮説とは何か」ワークショップ「変異理論は「相関主義」的か?:言語変異理論の新たな展開」"第13回社会言語科学会研究大会発表原稿集. (印刷中). (2004)