2003 Fiscal Year Annual Research Report
日韓における近代国際法受容過程の比較研究-21世紀の新しい国際法の構築に向けて-
Project/Area Number |
13420009
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柳原 正治 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (60143731)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深町 朋子 福岡国際大学, 国際コミュニケーション学部, 講師 (30310014)
明石 欽司 慶應義塾大学, 法学部, 助教授 (00288242)
辻 健児 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (70037068)
|
Keywords | 不平等条約 / 華夷思想 / 主権平等 / 日韓関係 / 朝貢 / 藩属国 |
Research Abstract |
平成13年度においては、韓国における近代ヨーロッパ国際法の受容過程、平成14年度においては、わが国における近代ヨーロッパ国際法の受容過程、を主として検討してきた。最終年度にあたる本年度においては、これらの両国における受容過程の比較検討を行い、それぞれの受容過程の特色をより一層明確にする作業を行った。とりわけ、わが国における受容は成功し、韓国においては失敗したと一般にいわれることは正しいのか、正しいとすれば、どのような理由に基づくのか、という点を主たる検討対象とした。そのなかで、「華夷秩序」のなかの、中国と「藩属国」である韓国との関係をどのように捉えるか、韓国は中国にとって"peers"(同僚)であったのか「厚往薄来」という朝貢の原則が実際の場面で守られていたのか、という点が、一つの重要な争点であることが、研究代表者が基調報告を行った、ハワイ大学韓国研究センター主催の国際シンポジウム(2003年7月23日-27日)のなかでも、あらためて確認された。この点は、2003年12月6日に韓国釜山で行われた、研究分担者と海外共同研究者が一堂に会した研究会の場でも、議論の対象となった。韓国側の海外共同研究者の中でも韓国をpeersと見ることには否定的な研究者がいることが確認された。この争点の解明には、日韓の研究者だけではなく、中国の研究者も交えて行うことが必要であることについて、日韓の研究者の間で一致した。それとともに、21世紀における、新しい日韓関係のあり方、さらには、新しい国際法秩序の中における両国の役割についても、両国の研究者の間で率直なかたちで議論がなされた。そのなかで、厳密な法律論に固執するのではなく、未来を見据え、大局的な問題解決の方式を考えるべきではないかという、提案もなされた。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 柳原正治: "イラク問題と国際法-武力行使に対する国際法の有効性"法学教室. 281号. 6-10 (2004)
-
[Publications] 明石欽司: "国際法学における実証主義の史的系譜-19世紀における『実証主義的』著作の検討を中心として"世界法年報. 22号. 3-29 (2003)
-
[Publications] Kinji Akashi: "Japanese 'Acceptance' of the European Law of Nations : A Brief History of International Law in Japan circa 1853-1900"Masaharu Yanagihara, Michael Stolleis (eds.), East Asian and European Perspectives on International Law (Baden-Baden : Nomos). (in printing). (2004)
-
[Publications] Masaharu Yanagihara, Michael Stolleis (eds.): "East Asian and European Perspectives on International Law"Baden-Baden: Nomos (in printing). (2004)