2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13420011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松久 三四彦 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10142788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 浩三 桐蔭横浜大学, 法学部, 教授 (10142671)
吉田 克己 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20013021)
大塚 龍児 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30009815)
鈴木 賢 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80226505)
藤原 正則 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70190105)
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Keywords | 東アジア法圏 / 法継受 / 韓国民法典 / 中華民国 / 満州国 / 日本民法典 / 旧民法 / ドイツ法学 |
Research Abstract |
本年度は、満州帝国民法典から始めて、韓国法への継受の跡をトレースする予定であった。最初の課題は、海外共同研究者の申政武(吉林大学)の研究の進展との関係で、他のメンバーで何度か検討を行ったが、次年度に持ち越した。他方で、韓国法に関しては、5月23日から5月26日に鄭鍾休教授(全南大学校法科大学)を招聘して共同研究会を開催し、さらに、その前後にも研究会を行った。元来は、研究プロジェクトの主な目標との関係では、韓国法への満州国法典の影響・わが国の学説の継受が中心におかれるはずだった。しかし、韓国民法の改正が行われたため、改正法の検討も併せて中心課題の一環となった。さらに、その過程で、韓国法、特に実務家へのわが国の判例法の影響が大きいことに気づかされた。今後は、幾つかのテーマを絞って、韓国の判例へのわが国の実務の影響を探っていく予定である。これまでに具体的に着手したのは、生命侵害の不法行為の場合の、遺族固有の財産的利益の侵害ではなく、死者の逸失利益の相続構成を取る韓国法に関して、若干の検討を行ったことである。以上のような理由で、当初の計画を若干変更して、次年度も韓国法の検討を行う予定である。 加えて、満州国法典の研究の進展が遅れていることとの関係で、中国法の立法作業に関する検討を若干行った。こちらは、中国の立法に協力している日本人研究者(藤岡康宏早稲田大学教授)と平成15年3月14日・16日に会合を持ち、立法中の中国の民法典の不法行為法と債権総則の内容・構造に関して、若干の検討を行った。従来は東アジア圏は大陸法、しかも、ドイツ法の影響が圧倒的だったが、契約法を通じてアメリカ法の影響が特に実務の側から強くなっているという現実がある。今後は、ある意味では水と油の大陸法と英米法の母法ではなく法継受地域での融合の可能性に関しても、一応は検討する余地があろう。
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[Publications] 松久三四彦: "他人物売買および無権代理等と相続・取得-管理権優先の視角-"『著作権法と民法の現代的課題』半田正夫先生古稀記念論集(法学書院)所収. 628-660 (2003)
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[Publications] 松久三四彦: "時効援用権者論の展開と検討"『現代民法学の理論と課題』遠藤浩先生傘寿記念(第一法規出版)所収. 91-119 (2002)
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[Publications] 大塚龍児: "問屋の破産と委託者の取戻権"別冊ジュリスト<商法(総則・商行為)判例百選〔第4版〕>. 164号. 172-173 (2002)
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[Publications] 吉田克己: "短期賃貸借保護制度改正の方向"ジュリスト. 1223号. 19-28 (2002)
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[Publications] 吉田克己: "家族法改正問題とジェンダー"ジュリスト. 1237号. 126-136 (2002)
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[Publications] 吉田克己: "<家族と法>を考える"西谷敏=笹倉秀夫編『新現代法学入門』(法律文化社)所収. 40-50 (2002)
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[Publications] 小川浩三: "糺問手続は刑事裁判手続か?(1)-中世法学における糺問手続の展開"桐蔭法学. 9巻1号. 1-29 (2002)
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[Publications] 小川浩三: "中世法学から見たホッブズ"金山直樹編『法における歴史と解釈』(平原社)所収. (2003年3月刊行予定). 13-40 (2003)
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[Publications] 藤原正則: "他人の物への担保設定による不当利得"『著作権法と民法の現代的課題』半田正夫先生古稀記念論集(法学書院)所収. 125-140 (2003)
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[Publications] 鈴木 賢: "試論・東アジア法系の成立可能性"北大法学論集. 53巻3号. 900-911 (2002)
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[Publications] 鈴木 賢: "外来法支配の終焉-法律家の変容に着目して-"アジア遊学. 48号. 54-66 (2002)
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[Publications] 鈴木 賢: "「台湾の法曹制度」、「中国の法曹制」"広渡清吾編『法曹の比較法社会学』(東京大学出版会)所収. (2003年3月刊行予定). (2003)
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[Publications] 木間正道, 鈴木賢, 高見澤磨著: "『現代中国法入門』第3版(2003年3月刊行予定)"有斐閣. 360 (2003)