2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13420011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松久 三四彦 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10142788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 浩三 桐蔭横浜大学, 法学部, 教授 (10142671)
吉田 克己 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (20013021)
大塚 龍児 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (30009815)
鈴木 賢 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (80226505)
藤原 正則 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70190105)
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Keywords | 東アジア法圏 / 法継受 / 韓国民法典 / 中華民国法典 / 生命侵害 / 遺留分 / 旧民法 / ドイツ法学 |
Research Abstract |
(1)当初の計画通りに、研究の中心は、韓国の生命侵害による不法行為の損害賠償と、台湾の相続、特に、遺留分の検討に当てた。 (2)韓国法に関しては、損害賠償請求のあり方は基本的には、わが国と同様である。というより、わが国の法学のみならず、現在の判例法・実務も継受している。したがって、最終年度に向けて、社会保険、生命保険などを含めた、相続法秩序と損害賠償の世界という双方向からのアプローチを開始している。 (3)台湾に関しては、(ア)例えば、法定相続人への生前贈与が、特別受益として常に遺留分の対象となるわが国と異なって、遺留分減殺の対象が少ない。(イ)わが国のように、遺産分割は家裁で、遺留分は地裁でという管轄の分裂がない。したがって、遺産分割手続で、一回的に遺留分についても解決する。(ウ)遺産合有で、わが国のように遺産の範囲から脱落する財産がない。したがって、遺留分に関する裁判例が少ないという点を明らかにした。以上の結論の、比較法的な意味については、最終的な検討で、明らかにしたい。 (4)(2)については、成果を出すまでに若干の時間がかかりそうである。(3)については、ドイツの遺留分と併せて、研究成果を平成16年中に公表したい。総じて評価すると、当初の研究計画よりも、各論的な問題については研究が進展したが、総論的な検討は、これから力点を置いて行かねばならない状況であると考える。
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[Publications] 松久 三四彦: "段階的プログラム(基礎・深化)による民法教育の方法と課題"判例タイムズ. 1129号. 5-9 (2003)
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[Publications] 松久 三四彦: "不動産競売における配当要求と時効中断効"民商法雑誌. 128巻2号. 239-252 (2003)
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[Publications] 大塚 龍児: "信義則上株主総会決議のないことを理由に取締役への退職金の支払いを拒めないとされた事例"私法判例リマークス(法律時報別冊). 28号(2004年上). 102-10S (2004)
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[Publications] 吉田 克己: "憲法と民法-問題の位相と構造"法律時報. 76巻2号. 50-58 (2004)
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[Publications] 吉田 克己: "「相続させる」旨の遺言-遺産分割不要の原則の検証"法律時報. 75巻12号. 83-88 (2003)
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[Publications] 吉田 克己: "「景観利益」の法的保護(民法判例レビュー(81))"判例タイムズ. 1120号. 67-73 (2003)
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[Publications] 小川 浩三: "ローマ法・比較法・民法法解釈学批判-E.ラーベルの場合"村上淳一編『法律家の歴史的素養』(東京大学出版会). (所収). 75-89 (2003)
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[Publications] 小川 浩三: "〔翻訳〕H.P.ヴェスターマン『ドイツ債務法改革』"ジュリスト. 1245号. 151-167 (2003)
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[Publications] 藤原 正則: "顧客の株式を無断売却して、売却代金を顧客の口座に振り込んだが、後に株式を顧客に返還した証券会社の、顧客に対する売却代金相当額の不当利得返還請求権"私法判例リマークス(法律時報別冊). 28号(2004年上). 62-65 (2004)
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[Publications] 鈴木 賢: "日本的現代中国法研究"環球法学評論. 2003年冬季号(掲載予定). (2004)
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[Publications] 鈴木 賢: "現代中国法にとっての近代法経験"社会体制と法. 第4号. 15-27 (2003)
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[Publications] 鈴木 賢: "試論"東亜法系"成立的可能性(中国語)"徐顕明・劉瀚主編『法治社会 形成與発展』下(山東人民出版社). (所収). 314-325 (2003)