2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13420013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江頭 憲治郎 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (20009822)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 秀樹 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (90114454)
山下 友信 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (10107485)
岩原 紳作 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (20107486)
藤田 友敬 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 助教授 (80209064)
増井 良啓 東京大学, 大学院・法学政治学研究科, 教授 (90199688)
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Keywords | 国際会計基準 / 会社法改正 / 計算書類 / 財務諸表 / 配当限度額 / 新株予約権 / 労務出資 / 委員会等設置会社 |
Research Abstract |
研究目的の第一、すなわち、国際会計基準の作成等の会計基準の国際化に伴い日本の会社法の計算規定を今後どう改正しなければならないかに関する研究については、前年の「研究実績報告書」において、今後の焦点は「会社法の配当限度額を定める規定」と「ストック・オプションの規定」であると述べたが、前者については、2003年通常国会における改正により、中間配当限度額を定める規定につき大改正があった。また、「企業結合に係る会計基準」の制定(平成18年実施予定)の影響により、今後も、会社法のその点の改正は必至である。 「ストック・オプションの規定」の改正の要否については、精力的に研究を進めた結果一定の結論を得て、近く論文として公表の予定である。結論の要旨は、国際会計基準の公開草案に従うと、「役務を対価として新株予約権を発行する」という、従来の我が国会社法と異なる観念が導入される。そうした「労務出資」を認めても、公開会社には弊害は生じないが、計算を公開していない会社には、問題が生じうる。第二に、「役務」には、市場価格のあるものとないものがあり、後者には過大評価の危険があるので、総会特別決議を要するとする考えがありうる。第三に、「役務」は継続的に提供されるので、新株予約権の対価の継続的払込みを予想していない現行法の改正の必要がある。第四に、労働基準法上、賃金の「通貨払の原則」の適用を排除する法改正が不可避になる。 研究目的の第二、すなわち、会計基準の国際化(変化)が日本の会社の行動パターンに及ぼす影響の研究については、企業・監査法人等へのヒアリングを中心に研究を進めた。2003年通常国会で公認会計士法の改正があったほか、繰延税金資産の評価に関する金融庁の検査と監査との食い違いなど、大きな事件もあり、多くの点で、会社全般については混沌とした状態ともいえるが、2003年の総会で「委員会等設置会社」となった会社には、監査制度を中心にはっきりした経営組織の変化が生じたので、そうした会社を中心に研究を進め、近く論文を公表する予定である。.
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 神田秀樹: "最近の商法改正の動向と理論的な考え方"租税研究. 651号. 54-69 (2004)
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[Publications] 増井良啓: "租税条約上の仲裁に関するIFA報告書"ジュリスト. 1244号. 278-283 (2003)
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[Publications] 増井良啓: "第57回IFA大会-会社と株主の課税を中心として"租税研究. 649号. 116-128 (2003)
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[Publications] 増井良啓: "多様な事業組織をめぐる税制上の問題点"フィナンシャル・レビュー. 69号. 95-123 (2003)
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[Publications] 江頭憲治郎: "書名『商事法への提言-落合誠一先生還暦記念』のうち論文名「ストック・オプションの費用計上と商法」(2004年5月刊行予定)"商事法務. 25 (2004)
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[Publications] 神田秀樹: "書名『検証・アメリカ経済』(伊藤隆敏・財務省財務総合政策研究所編)のうち論文名「エンロン事件とアメリカのコーポレート・ガバナンス改革」"日本評論社. 18 (2004)
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[Publications] 藤田友敬: "書名『商事法への提言-落合誠一先生還暦記念』のうち論文名「自己株式の法的地位」(2004年5月刊行予定)"商事法務. 25 (2004)
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[Publications] 増井良啓: "書名『学術フロンティアプロジェクト国際金融革命と法・国際課税研究班研究成果報告書』のうち論文名「研究の方向について」"関西大学法学研究所. 9 (2003)