2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13430022
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
速水 融 麗澤大学, 国際経済学部, 教授 (40051164)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友部 謙一 慶応義塾大学, 経済学部, 助教授 (00227646)
浜野 潔 関西大学, 経済学部, 教授 (40288585)
鬼頭 宏 上智大学, 経済学部, 教授 (50138377)
黒須 里美 麗澤大学, 外国語学部, 助教授 (20225296)
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Keywords | 江戸時代 / 都市人口 / 人口移動 / 乳幼児死亡 |
Research Abstract |
平成14年度の研究は、前年度に引き続き、1)京都・大坂・奈良・堺という近畿地方の都市人口の研究、2)蕨(武蔵国)、起(尾張国)、平野郷(摂津国)といった中小都市、3)郡山(陸奥国)を対象として進めた。また、新たに、桐生新町(上野国)の人口史料の整理をおこなった。その結果、1)については、京都(四条立売中ノ町、三条衣棚町、西九条境内清水町)、大坂(菊屋町)、奈良(東向北町、鶴福院町)、堺(善教町)の資料(宗門改帳)整理を終え、15年度には、分析とその結果の発表も展望されるようになった。秩父(武歳国)、伊丹郷(摂津国)、高砂(播磨国)については資料整理中であり、平成15年度末までには統計作成を完了する見通しである。また3)については、研究協力者(高橋美由紀)による研究が進み、学位論文として一橋大学に提出され、博士学位を得た。 ただ都市の人口は多数であるのと同時に流動性に富み、個人や夫婦、世帯を追ってそれらのライフ・ヒストリー研究をすることには、予想以上の時間を要する。ともかく得られた結果は、もちろん都市によってその程度は異なるとはいえ、住民の流動性が極めて高いことである。それぞれの町は、少数の有力商人と多数の流動する住民からなっているので、農村の歴史人口学研究の方法、たとえば夫婦の人口学的行動の追跡調査である「家族復元」法の適用は困難である。また、都市の資料(宗門改帳)には、年齢記載がなかったり、幕末になって記載されるようになったりするため、人口学的分析は限定されてしまう。 しかし、奉公人を含む人口移動の記載は豊富なので、婚姻圏や労働移動圏については検討が可能である。そのなかで、大坂(菊屋町)については、調査が毎月なされているので、これを使って乳幼児死亡の観察が可能で、貴重な情報を提供してくれる。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] 速水 融: "歴史人口学-課題・方法・史料"速水融編『近代移行期人口と歴史』(ミネルヴァ書房). 1-21 (2002)
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[Publications] 速水 融: "歴史人口学と家族史"速水融編『近代移行期の家族と歴史』(ミネルヴァ書房). 1-17 (2002)
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[Publications] 速水 融: "江戸時代の人口をめぐって"学際. 第6号. 8-15 (2002)
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[Publications] 鬼頭 宏: "宗門改帳と懐妊書上帳"速水融編『近代移行期の人口と歴史』(ミネルヴァ書房). 73-98 (2002)
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[Publications] 浜野 潔: "幕末京都への人口移動と寺替・宗旨替"関西大学経済学部 Working Paper Series J-012. (2002)
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[Publications] 浜野 潔: "近世京都における人口移動と寺壇関係"京都学園大学経済学部論集. 12巻2号. 53-70 (2002)
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[Publications] 友部 謙一: "徳川農村における「出生力」とその近接要因について"速水融編『近代移行期の人口と歴史』(ミネルヴァ書房). 199-228 (2002)
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[Publications] 黒須 里美(落合恵美子と共著): "人口学的制約と養子"速水融編『近代移行期の家族と歴史』(ミネルヴァ書房). 127-160 (2002)
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[Publications] 速水 融: "江戸農民の暮らしと人生"麗澤大学出版会. 274 (2002)
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[Publications] 鬼頭 宏: "環境先進国江戸"PHP研究所. 217 (2002)
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[Publications] 鬼頭 宏: "文明としての江戸システム"講談社. 338 (2002)