2002 Fiscal Year Annual Research Report
人材開発プログラムにおける経営者倫理育成の役割―日本企業の創業事例をもとに
Project/Area Number |
13430033
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹野 忠弘 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (80216928)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 一彰 鈴鹿国際大学, 国際関係学部, 講師 (20329915)
牧野 勝都 東京富士大学, 経営学部, 助教授 (40248977)
コンダカール ミザヌル.ラーマン 日本福祉大学, 経済学部, 教授 (10281487)
日野 健太 早稲田大学, 商学部, 助手 (70339670)
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Keywords | 経営者人材育成 / Management Development / Management of Technology |
Research Abstract |
本共同研究プロジェクトは、その過程で「日本企業の創業事例における技術者倫理の企業家精神への発展とその継承」にテーマを発展させた。本研究の目的は、人材開発政策ならびに戦略についての前回共同研究の成果を発展させて、「日本人企業家の足跡を検討しながら、その日本固有の企業家倫理の本質を検討し、経営者人材育成カリキュラム(MD=Management Development)における企業家倫理育成プログラムの充実、発展を図ることであった。米英におけるMDカリキュラムにおいて、企業家精神の育成がどのように図られているのか検討するとともに、日本の主要な技術者出身の経営者が技術を事業化していった事例から技術者の中に企業家精神がどのようにして形成されていったのか検討し、企業家精神育成の要点を見出すことを目標とした。しかしながら、米英におけるMDカリキュラムは、MBAカリキュラムの延長上というよりも、MBAがクライアント企業と共同で「企業内大学(院)」として試行実践の段階にあり、かつ企業個別先行事例の内部における経験を「ワークショップ(GEではワークアウト)」によって伝える活動が中心である。カリキュラムそのものの内容を検討する意義は現段階では薄かった。したがって、事例研究に重点をおいて検討した。研究プロジェクトにおける発見のひとつは、「日本固有の企業家倫理」観が、製品メカニズム、製造現場の管理活動、ならびに時勢や相場の変動を見た経験、など極めて製造や販売に密着した行動規範から生じていたことである。特に「技術者」系「経営者」は、自身の経験的な技術や工学的な発見を、「商品」のメカニズム・仕様や商品製造管理という事業に結び付けていくプロセスにおいて、その「倫理」を具現化する。学術的な価値以上に製品として実用化すること、およびそれを「商品」として採算のとれるものとして製造する技量の確保を自己の「ethic(気概・心意気)」としていた。産業創出の活路は、ベンチャー企業家・起業家の育成支援、「学」の技術の民間移転による事業化に求められている。今日の経済政策上、事業化プロセス事例検討は一定の意義があった。
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Research Products
(19 results)
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[Publications] 竹野 忠弘: "自動車部品モジュール化と経営戦略"名古屋工業大学研究紀要. 第53巻. 121-134 (2002)
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[Publications] 竹野忠弘, 佐々木一彰: "創業世代における企業家精神の形成と展望"経営行動研究学会第12回全国大会(山梨学院大学)『報告予稿集』. 5-38 (2002)
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[Publications] 竹野 忠弘: "21世紀の産業づくり-中京地域企業からの発信"経営工学会・品質管理学会・OR学会3学会共催講演会論集. 2002年版. (2002)
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[Publications] 竹野 忠弘: "自動車部品モジュール化と経営戦略"経営学論集(日本経営学会). 第72集. 188-189 (2002)
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[Publications] 竹野 忠弘: "中京圏の産業集積とグローバルニッチ"名古屋工業大学研究紀要. 第54巻. 177-188 (2003)
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[Publications] 竹野忠弘, 佐々木一彰: "創業世代における企業家精神の形成と展望"経営行動研究年報(経営行動研究学会). 第12集. (2003)
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[Publications] コンダカル・ミザヌル・ラーマン: "Employment Environment of Women in Bangladesh"現代と文化(日本福祉大学研究紀要). 第104号. 165-184 (2001)
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[Publications] コンダカル・ミザヌル・ラーマン: "Bonded Zones as a Development Strategy in Indonesia"商学論纂(中央大学商学研究会). 111-170 (2002)
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[Publications] コンダカル・ミザヌル・ラーマン: "南アジア諸国における児童労働者の法的雇用環境"アジア経営研究(アジア経営学会). 90-95 (2002)
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[Publications] 牧野 勝都: "コーポレート・ガバナンスの失敗:エンロンの事例を中心として"経営学論集(日本経営学会). 第73集. (2003)
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[Publications] 佐々木 一彰: "企業家(Entrepreneur)におけるイノベーション(Innovation)と組織的問題"鈴鹿国際大学紀要. No8. 19-34 (2002)
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[Publications] 佐々木 一彰: "ホスピタリティ企業における所有と経営の分離の問題"日本経営教育学会第45回全国研究大会『報告予稿集』. 72-75 (2002)
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[Publications] 佐々木 一彰: "企業家精神"鈴鹿国際大学紀要. No10. (2003)
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[Publications] 日野 健太: "交換関係とリーダーシップの有効性"早稲田商学. 393号. 101-134 (2002)
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[Publications] 日野 健太: "書評:Robert P.Vecchio eds. Leadership : understanding the dynamics of power and influence in organizations"経営戦略研究(経営戦略学会). 1号. 79-84 (2002)
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[Publications] 竹野 忠弘: "平成13年度産官学連携手法に関する研究助成に関わる研究成果の発表(資料集)「中京圏の産業集積と産学連携」"名古屋工業大学共同研究センター. 73(3-32) (2002)
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[Publications] 竹野 忠弘: "熟練技能ネットワーク化推進調査研究報告書「調査報告-『多元化するネットワーク化の現状』(本調査地域)名古屋市」"平成14年度厚生労働省委託. 223(53-72) (2002)
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[Publications] 竹野 忠弘: "経営学論集 第73集「デジタル化経営とモジュール化戦略」"日本経営学会. 280 (2003)
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[Publications] 竹野編著: "日本企業の創業事例における技術者倫理の企業家精神への発展とその継承"科学研究費補助金プロジェクト経費. 80 (2003)